店舗の種類と立地タイプの選び方|開業前に知るべきメリット・デメリット

これからお店を始めるなら「どこに出店するか」はとても重要なポイントです。どんなに素敵なお店でも、立地によって売上が大きく変わることもあります。
この記事では、代表的な店舗の立地タイプやそれぞれのメリット・デメリット、立地選びで迷ったときの判断ポイントをわかりやすく解説します。

店舗の立地はどう選ぶ?まず押さえたいポイント

お店づくりでまず悩むのが「どこに出店するか」。
立地によって集客力も売上も大きく変わるため、慎重に選びたいところです。
ここでは、業種やターゲットに合わせた基本の考え方を紹介します。

  • 業種とターゲットに合わせて選ぶ
    飲食、美容室、アパレルなど、業種によって向いている場所は違います。
    ターゲット層(学生・会社員・ファミリーなど)に合ったエリアを選ぶのが基本です。
    たとえば、学生が多い街ならカジュアルな価格帯、ビジネス街ならランチ特化など、ニーズに合わせた立地選びがカギとなります。
  • 「人目につくか」を重視
    隠れ家的要素を売りにしたい場合は別ですが、店舗が人目につきやすいかどうかも重要です。
    たとえサービスや商品が優れていても、「お店の存在に気づかれない」状態では、集客は難しくなります。
    周辺の歩行者の流れや、通行人の目線に入りやすい場所かどうかも確認しましょう。
  • 賃料と予算のバランスをとる
    人気エリアは集客力が期待できますが、その分、賃料も高くなりがちです。
    初期費用だけでなく、月々の固定費として無理なく支払っていけるかも要チェックです。
    理想だけで決めず、現実的な予算とのバランスを考えることが大切です。

店舗の立地は4タイプ

店舗立地は、まず大きく「単独型(フリースタンディング)」と「複合施設内型」の2つに分けられます。
さらにそれぞれの中に、以下のようなタイプがあります。

単独型(フリースタンディング)

①路面店:街中や商店街の1階にあり、歩行者の目に留まりやすい店舗。
②ロードサイド店舗:幹線道路沿いにあり、車での来店がメイン。

複合施設型

③商業施設内店舗:ショッピングモールなどの大型施設内にある店舗。
④ビルイン店舗:オフィスビルや雑居ビル内にある店舗。2階以上のことを言う場合が多い。

①路面店のメリット・デメリット

まずは、単独型(フリースタンディング)のうちの1つ「路面店」のメリット・デメリットを紹介します。

路面店のメリット

・視認性が高く、通行人からの自然な集客が期待できる
・自由な外観デザインで、ブランドの世界観を打ち出しやすい

路面店は視認性が高く、通行人からの自然な集客が見込めるのが大きな魅力です。
看板や外観が目に入りやすいため、ふらっと立ち寄ってもらえる機会も増えます。
また、自由に外観デザインを工夫できるため、ブランドの世界観をしっかり表現しやすい点もメリットです。
たとえばショーウィンドウを活用して商品やサービスの魅力を発信すれば、より強い印象を与えることができます。

路面店のデメリット

・賃料が高くなりやすい
・人気エリアは近隣に競合店が多くなることも

一方で、路面店は賃料が高くなる傾向があります。
とくに人通りの多いエリアや駅前などの好立地では、毎月の固定費が大きな負担になることも。
また、人気エリアであるがゆえに、近隣に同業種の競合店が集まりやすく、差別化や価格競争に苦労する可能性もあります。
立地選びの際は、そうしたリスクも含めて検討する必要があります。

路面店とは?テナントやロードサイド店舗との違いもわかりやすく解説

②ロードサイド店舗のメリット・デメリット

続いて、単独型(フリースタンディング)のうちの1つ「ロードサイド店舗」のメリット・デメリットを紹介します。

ロードサイド店舗のメリット

・駐車場付き物件が多く、車利用の来店がしやすい
・飲食チェーンや大型店にも向いている

ロードサイド店舗は、駐車場付き物件が多いため、車を利用するお客様にとって来店しやすいのが魅力です。
とくに郊外では敷地が広く確保できることから、ファミリーレストランや大型量販店など、広いスペースを必要とする業態にも向いています。
店舗前に車を停められることで、ファミリー層や遠方からの集客にもつながりやすくなります。

ロードサイド店舗のデメリット

・広告や看板による工夫が必要
・車以外での来店のハードルが上がる

その一方で、徒歩での来店が難しい場所も多く、人通りが少ない立地では、集客のために看板や広告などの工夫が欠かせません。
ドライバーの目に留まるような視認性の高い外観や誘導看板を設置するなど、来店までの導線設計が重要です。
また、車を持っていない層にはアクセスしづらく、ターゲットを限定しやすい点にも注意が必要です。

ロードサイド店舗とは?メリット・デメリットと成功するためのポイント解説

③商業施設内店舗のメリット・デメリット

ここでは、複合施設内型の1つ「商業施設内店舗」のメリット・デメリットを紹介します。

商業施設内店舗のメリット

・モールや施設全体の集客効果が期待できる
・雨天や気候に左右されず安定した来店が見込める

商業施設内に出店する最大のメリットは、モールや施設そのものの集客力に乗れる点です。
目的買いだけでなく、ついで買いや偶然の立ち寄りといった来店も期待でき、安定した集客につながります。
また、屋内型の施設であれば天候や季節の影響を受けにくく、雨の日や猛暑・寒波の日でも客足が途絶えにくいのも特徴です。

商業施設内店舗のデメリット

・ルールや制限がある
・家賃が売上歩合制になる場合がある
・募集件数が少ない

一方で、商業施設内では営業時間や内装、販促方法などに一定のルールや制約があるケースも多く、自店のペースで営業するのが難しい場面もあります。
また、家賃が売上歩合制になる場合もあり、売上が上がるほど賃料も増えるなど、利益計算が複雑になりやすい点も要注意です。
さらに、募集される区画が少なく、希望条件に合う物件が見つかりにくいというデメリットもあります。

④ビルイン店舗のメリット・デメリット

最後に、複合施設内型の1つ「ビルイン店舗」のメリット・デメリットを紹介します。

ビルイン店舗のメリット

・路面店に比べて賃料が安くなりやすい
・コンセプト重視の業態にも向いている

ビルの中に入っている店舗、いわゆる「ビルイン店舗」は、路面店と比べて賃料が抑えられる傾向があります。
コストを抑えて出店したい場合や、中心地での立地にこだわりたいけれど路面店は高すぎるというときにも選択肢になります。
また、「隠れ家」や「知る人ぞ知る」といったコンセプトを活かしやすく、カフェやバー、美容系など独自性のある業態にも向いています。

ビルイン店舗のデメリット

・集客に工夫が必要
・エレベーターや階段の位置次第で利便性が悪くなる

一方で、ビルイン店舗は視認性が低く、通行人に気づいてもらいにくいというデメリットがあります。
集客にはSNSでの情報発信や、入口看板・ビル外観の工夫が不可欠です。
また、エレベーターや階段の位置・動線によっては、お客様が辿り着きにくいと感じることも。
ビルの構造によって来店のハードルが上がってしまう点には注意が必要です。

業種別!向いている立地タイプ

店舗の立地は業種によって求められる条件が大きく変わります。
飲食店、美容室、アパレルショップなど、それぞれのお店に合った立地を選ぶことで、集客力や売上アップにつながります。
ここでは、代表的な業種ごとに「向いている立地」の特徴をわかりやすく解説します。

飲食店に向いている立地

ランチ需要を狙うなら、オフィス街のビルイン型や駅前の路面店型が◎。
通勤・通学客の動線上にあると、安定した集客が見込めます。
テイクアウトやファストフード業態なら、人通りの多い駅チカの路面店が向いています。
郊外型のレストランやファミレスなどは、駐車場付きのロードサイド店舗が人気です。

美容室・サロンに向いている立地

集客力を重視するなら、駅チカの路面店型や人通りの多い商業エリアのビルイン型が有利です。
一方で、SNSや口コミで集客するスタイルなら、視認性は低くても住宅街の単独型でもOK。
プライベート感を大切にしたいサロンは、あえて人通りの少ない立地も選択肢に入ります。

アパレル・雑貨店に向いている立地

幅広い年代をターゲットにするなら、ショッピングモールなどの複合施設内型が王道です。
集客力が高く、買い回りによる偶然の来店も期待できます。
一方で、ブランドの世界観や店舗デザインを重視するなら、おしゃれなエリアの路面店型も◎。
通行人の興味を引く外観で差別化を図りやすいのも魅力です。

学習塾・習い事に向いている立地

学校帰りに通いやすい駅近のビルイン型や住宅街の中の一軒家タイプが人気です。
車での送迎が前提なら、駐車場つきのロードサイド店舗も検討しましょう。

小売店に向いている立地

ドラッグストア・食品店などの小売店に向いている立地は以下の通りです。
日常使いの買い物なら、駐車場つきのロードサイド店舗が便利です。
集客力を求めるならスーパーや商業施設の中に出店するのも効果的。
都市部なら駅前の路面店型も根強い人気があります。

立地選びで迷ったら?判断ポイントまとめ

立地選びで悩んだときは、以下のポイントで優先順位をつけてみると決めやすくなります。

■ターゲット層が集まる場所か

まずは自分のお店が狙うメインの客層がどこに多いかをしっかり把握することが大事です。
ただ単に人通りが多い場所だからといって、必ずしも売上が上がるわけではありません。
例えば学生が多い場所で高級志向のお店を出しても、客層とミスマッチになることがあります。
学生がターゲットなら大学周辺や学生街、ファミリー層なら住宅地や子育て世帯が多いエリアが適しています。
ターゲット層が実際に足を運びやすい場所でないと、どんなに良い商品やサービスがあっても集客は難しいです。
リサーチを怠らず、実際の人の流れや生活圏も意識して選びましょう。

■店舗のコンセプトや導線に合っているか

お店の雰囲気や提供したいサービスの流れに合った立地かも大事なポイントです。
例えば、ゆったり過ごしてもらいたいカフェなら静かな場所や視認性の良い路面店が向いています。
テイクアウト中心の飲食店なら人通りが多く出入りしやすい場所がベストです。
また、店内外の動線がスムーズかどうか、入り口のわかりやすさや看板の見やすさなども集客に影響します。
コンセプトと立地がマッチすることで、お客さんに満足してもらいやすくなります。

■店舗の階数はどうか

店舗が入る階数も、立地選びで意外と重要なポイントです。
1階の路面に近い場所は視認性が高く、通行人の目に入りやすいため集客しやすい傾向にあります。
一方で、2階以上のビルイン店舗は家賃が比較的安くなることが多いですが、店舗の存在に気づかれにくい場合も。
落ち着いた雰囲気の喫茶店や美容院にしたいなど、コンセプトに合っていればOKですが、初めてのお客様に来店してもらうには、階段やエレベーターの案内表示、わかりやすい看板設置が不可欠です。
店舗のジャンルやターゲット層によっても適した階数は変わるため、視認性や集客面、家賃とのバランスを考慮して選びましょう。

■家賃・予算とのバランスはとれているか

立地の良さだけに目がいって、家賃が予算を超えてしまうと経営が圧迫されます。
どんなに集客が見込めても、固定費が高すぎると利益が出にくくなってしまいます。
また、家賃にかける予算が大きいと、その分サービスや商品開発、広告費などに回せるお金が減ってしまうリスクもあります。
見た目の集客力だけに頼らず、初期費用や毎月の家賃を含めた収支バランスをしっかりシミュレーションしましょう。

お店のコンセプトやターゲットに合った立地を選ぶのだ~!

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NARUHODO FUMU FUMU

愛知・岐阜・三重で50年以上、地域密着の直営主義でお部屋探しを提供している不動産会社【ニッショー】が運営するWebマガジン。
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