一軒家の賃貸はやめた方がいい?メリット・デメリットと後悔しない選び方

「マンションより広々して快適そう」と思い、一軒家の賃貸を検討する方も多いですよね。
しかし実際に暮らしてみると、一軒家の賃貸はめんどくさいと感じることもあります。
この記事では、やめた方がいいと言われる一軒家のデメリットのほか、メリットや一軒家に向いている人、借りるときのチェックポイントを解説しています。

一軒家の賃貸には2つのパターンがある

一軒家の賃貸には、大きく分けて「①賃貸用に建てられた一軒家(戸建て)」と「②持ち主の事情で貸し出された一軒家」の2種類があります。

①賃貸用に建てられた一軒家(戸建て)

「一軒家=住むために建てる」というイメージが強いですが、実は最初から賃貸用として建てられる場合もあります。
このような一軒家は、マンションやアパートなどの集合住宅と区別され、「戸建て」という賃貸用語で呼ばれています。

「戸建て」は、ファミリーさんや郊外のベッドタウンといった地域で需要があり、入居者が快適に暮らせるよう、間取りや生活動線が整えられているのが特徴です。

②持ち主の事情で貸し出された一軒家

もうひとつ多いのが、一軒家を持ち主の事情で貸し出すケースです。
・持ち主が住んでいたが、転勤や単身赴任で引っ越すことになった
・相続したが住む予定がない
・将来的にはまた住む予定があるが、空き家にはしたくない

こうした理由から、一時的に一軒家を賃貸に出すことがあります。
ただし、将来的に持ち主が帰住するまでの期限付きであったり、設備が賃貸仕様になっていなかったりするため、契約前にはしっかり確認しましょう。

一軒家の賃貸はやめた方がいい?めんどくさい理由とデメリット

一軒家の賃貸は、なぜやめた方がいいと言われることが多いのでしょうか。
前に触れた通り、一軒家の賃貸には大きく分けて2つのパターンがあります。
まずは共通のデメリットを確認してから、①賃貸用に建てられた一軒家(戸建て)と②持ち主の事情で貸し出された一軒家、それぞれのデメリットを見ていきましょう。

共通のデメリット

・物件数が少ない
・駅から遠い場合が多い
・入居審査が厳しい場合がある
・家賃や初期費用が高め
・退去時のクリーニング費が高額になりやすい
・光熱費が高くなりやすい
・階段の上り下りがつらい
・町内会への加入や近所付き合いが負担になりやすい
・訪問販売や営業が来やすい
・虫が出やすい
・空き巣に狙われやすい
・災害時の影響を受けやすい

①賃貸用に建てられた一軒家(戸建て)のデメリット

・新築・築浅はさらに物件数が少ない
・家賃が高めに設定されることが多い

②持ち主の事情で貸し出された一軒家のデメリット

・間取りや設備が入居者向けでないことがある
・断熱、耐震性能が低いことがある
・築年数による不便さがある
・光熱費がさらに高くなりやすい
・庭などのメンテナンスが借主負担
・残置物などの契約制限があることが多い
・数年後に退去を求められる場合がある

共通のデメリット

まずは一軒家の賃貸に当てはまる共通のデメリットを確認しておきましょう。

  • ・物件数が少ない
    一軒家の賃貸はマンションやアパートと比べて物件数が少ないため、希望する条件に合う家を見つけるのが大変です。
    地域や駅からの距離、間取り、庭の広さなど、自分の条件を満たす物件は限られています。妥協点を考えて探すことが必要です。
  • ・駅から遠い場合が多い
    一軒家は、車の利用を前提としていることが多い上、敷地面積や庭の広さを優先するなどして、駅から離れた場所に建てられることが多いです。
    そのため、駅やバス停が近くにない物件も多く、通勤や通学の際に不便を感じることも。

  • ・入居審査が厳しい場合がある
    一軒家は家賃が高い分、入居審査では入居者の収入や保証能力を慎重にチェックされます。
    そのため、単身用アパートよりも審査条件が厳しいことがあり、収入や連帯保証人の有無などを事前に確認しておく必要があります。
  • ・家賃や初期費用が高め
    一軒家は面積が広く、快適なため家賃が高くなりやすいです。
    予算に余裕がない場合は、無理のない範囲で検討する必要があります。
  • ・退去時のクリーニング費が高額になりやすい
    面積が広い分、退去時のクリーニング費も高額になりやすいです。支払いのタイミングが契約時という場合もありますが、その際は最初にまとまった費用が必要になります。
  • ・光熱費が高くなりやすい
    一軒家は、マンションよりも断熱性や気密性が低い物件が多い上に、部屋数が多く面積も広いため、エアコンや照明の使用によって光熱費がかさむ傾向があります。
  • ・階段の上り下りがつらい
    2階建て以上の一軒家は、日常的に階段の上り下りが発生します。子どもや高齢者にとっては危険な上に負担になることも。
    また、重い荷物を持って移動する際にも不便を感じやすいです。
  • ・町内会への加入や近所付き合いが負担になりやすい
    地域によっては自治会や町内会への加入が必須で、会費や行事参加が求められる場合があります。
    地域のつながりを大切にできる人にはメリットですが、気軽な賃貸暮らしを求めている人には、負担に感じるかもしれません。
  • ・訪問販売や営業が来やすい
    集合住宅に比べて、訪問販売員や勧誘が訪れやすい点もデメリットです。
    特に一軒家は表札やポストが道路から見やすく、営業対象になりやすい傾向があります。インターホンや防犯カメラの設置を検討すると安心です。
  • ・虫が出やすい
    庭や植栽があると虫が発生しやすく、夏場は蚊やゴキブリ、シロアリなどの被害に悩まされることもあります。
    マンションに比べて侵入経路が多いため、防虫対策が欠かせません。
  • ・空き巣に狙われやすい
    マンションと違ってオートロックがなく、管理人もいないため、防犯面では一軒家のほうがリスクが高いといえます。
    特に人通りの少ない立地や、庭から侵入できる構造の家は狙われやすいため、防犯設備の確認や対策が必要です。
  • ・災害時の影響を受けやすい
    古い一軒家は耐震性や耐火性が十分でないケースがあり、地震や台風などの災害時に被害を受けやすい傾向があります。
    ハザードマップや建物の耐震補強の有無を確認しておくことが重要です。

①賃貸用に建てられた一軒家(戸建て)のデメリット

最初から賃貸用として建てられた戸建ては、間取りや設備が入居者向けに整えられており、基本的には快適に暮らせる設計になっています。
そのため、元持ち家の一軒家と比べると、大きな不便やトラブルは少ないことが特徴です。

  • ・新築・築浅はさらに物件数が少ない
    新築や築浅の物件はさらに快適ですが、その分物件数が少ないため、部屋探しのタイミングで上手く希望の物件が見つからない場合があります。
  • 家賃が高めに設定されることが多い
    賃貸用に建てられた物件は、設備や間取りが入居者向けに最適化されています。
    しかしその分、家賃は高めに設定されることが多く、費用面には注意が必要です。
    目安として、住宅ローンの平均月額が約11万円程度ですが、賃貸の場合はそれと同程度、あるいはそれ以上の家賃になることもあります。

    場合によっては、購入を検討したほうがコスパが良いケースもあります。

②持ち主の事情で貸し出された一軒家のデメリット

このケースの一軒家は、持ち主が所有権を持ったまま賃貸に出すことによる制限が発生します。
また、築年数が古い場合にも住み心地に影響が出ることがあるため、注意が必要です。

  • ・間取りや設備が入居者向けでないことがある
    もともと持ち主のライフスタイルに合わせて建てられた家であることが多いため、間取りや設備が賃貸向けに最適化されていないことがあります。
    例えば、収納スペースが少なかったり、使い勝手の悪い水回りだったりする場合もあります。
    契約前に内見でしっかり確認することが大切です。
  • ・断熱、耐震性能が低いことがある
    築年数が古いと断熱材が不十分で冬は寒く夏は暑いなど快適性に欠けることがあります。
    ・耐震基準が古いままの建物では、大きな地震の際に被害が拡大する可能性もあります。
  • ・築年数による不便さがある
    古い一軒家は水回りやコンセントの位置が現代の生活に合わず、不便を感じることがあります。
    収納が少ない、間取りが使いづらいといった点もデメリットになりやすいです。

  • ・光熱費がさらに高くなりやすい
    断熱性能や広さに加え、給湯や空調の設備が古いと効率が悪くなり、結果的に毎月の光熱費が割高になる場合があります。
  • ・庭などのメンテナンスが借主負担
    庭の手入れや掃除、階段の昇降など、生活の中で手間がかかることがあります。
    特に庭は季節ごとに草取りや剪定が必要で、日常的に時間や労力を取られることも。日常の管理に抵抗がある人は注意が必要です。
  • ・残置物などの契約制限があることが多い
    前の入居者や所有者の家具や設備がそのまま残されているケースがあり、処分や使用に制約があることがあります。
    また残置物を勝手に処分したり、使用禁止の制限がある場合も。事前に契約内容をよく確認することが大切です。
  • ・数年後に退去を求められる場合がある
    転勤や相続、売却の都合などで貸し出されている物件は、将来的にオーナーが戻ってきた場合、退去を求められることがあります。
    長く住みたい人は、契約内容をしっかり確認しておくことが重要です。

一軒家の賃貸に住むメリット

デメリットがある一方で、一軒家ならではの快適さや魅力もあります。
集合住宅では得られないメリットを知ることで、より具体的な暮らしをイメージできます。

■住空間の快適さ

一軒家の賃貸は、マンションやアパートと比べて部屋数が多く、ゆったりとした広さがあるのが特徴です。
上下階や隣室との生活音が気になりにくく、プライバシーを保ちながら落ち着いて暮らせます。
家族が多いファミリーさんや、静かな環境でのびのびと過ごしたい人には、大きな魅力といえるでしょう。

■ライフスタイルの自由度

敷地内に駐車場や庭があることが多いのも、一軒家ならではのメリットです。
駐車場が賃料込みであることも多く、庭ではガーデニングや家庭菜園、子どものプール遊びなど屋外スペースを自由に活用できます。
集合住宅にはない「外の空間」を生活の一部にできるのは大きな魅力です。

■ペット飼育や子育てに向いている

一軒家の賃貸は、ペット相談可の物件が多く、犬や猫を飼える環境が整っています。
また、子どもを安心して遊ばせられるのも嬉しいポイントです。
集合住宅よりも近隣トラブルのリスクが少ないため、家族全員が快適に暮らしやすいといえます。

■賃貸ならではの気楽さ

一軒家に住みながらも、固定資産税や修繕費といった持ち家特有の負担がないのは賃貸ならではです。
住宅ローンに縛られることもなく、ライフスタイルが変わった際には気軽に引っ越すことも可能です。
マイホームを検討している人にとっては「お試しで一軒家暮らしを体験する場」としても活用できるでしょう。

一軒家賃貸に向いている人・向いていない人

一軒家の賃貸は、人によって住みやすさが大きく変わります。
自分のライフスタイルに合うかどうか確認してみましょう。

一軒家賃貸に向いている人

一軒家の賃貸は広さや庭、駐車場などの利便性が魅力で、次のような人に向いています。

・子育て世帯や家族で暮らす人
・庭やガーデニング・家庭菜園を楽しみたい人
・駐車場がある物件がよい人
・ペットを飼いたい人
・静かな環境で暮らしたい人
・マイホーム購入前に戸建てを試したい人

・子育て世帯や家族で暮らす人
広さや間取りが確保されているため、家族で快適に暮らせます。子どもがいても生活動線に余裕があり、集合住宅より自由度が高いのが特徴です。

・庭やガーデニング・家庭菜園を楽しみたい人
庭付き物件が多いため、ガーデニングや家庭菜園を楽しむことができます。植物や家庭菜園に興味がある人には嬉しい環境です。

・駐車場がある物件がよい人
一軒家には駐車場が付いていることが多く、車を使う生活に便利です。複数台必要な家庭でも安心です。

・ペットを飼いたい人
集合住宅と比べてペット可の制限が緩い場合が多く、犬や猫などを自由に飼いやすいです。庭があれば運動スペースとしても活用できます。

・静かな環境で暮らしたい人
周囲の騒音が少なく、落ち着いた環境で生活できます。通勤・通学の便よりも静かさを重視する人に向いています。

・マイホーム購入前に戸建てを試したい人
将来的に戸建て購入を考えている場合、賃貸で戸建ての生活感や管理の手間を体験できるため、住み心地を確認するのに最適です。

一軒家賃貸に向いていない人

一軒家の賃貸は広さや快適さが魅力ですが、そのぶん費用や手間もかかります。
そのため、以下のような人にはあまり向いていません。

・費用をできるだけ抑えたい人
・掃除や庭の手入れなど手間を増やしたくない人
・一人暮らしの人
・新築や築浅にこだわる人
・近所付き合いや自治会が苦手な人
・セキュリティや虫が気になる人

・費用をできるだけ抑えたい人
 家賃や光熱費、庭や建物の維持費が高くなりやすいため、コスト重視の人には不向きです。

・掃除や庭の手入れなど手間を増やしたくない人
 家が広い分、掃除の範囲が増えたり、庭の手入れが借主負担であるなど、日常的に管理が必要なため、手間を避けたい人には向いていません。

・一人暮らしの人
 広さやコストの面で効率が悪く、必要以上の負担を感じることがあります。

・新築や築浅にこだわる人
 希望条件に合う物件が少なく、築年数や設備の選択肢も限られることがあります。

・近所付き合いや自治会が苦手な人
 地域の行事や自治会参加が必要な場合もあり、人付き合いを避けたい人には負担になります。

・セキュリティや虫が気になる人
 空き巣や害虫のリスクが集合住宅より高く、快適性に影響することがあります。

後悔しないためには?一軒家を借りる際のチェックポイント5つ

実際に一軒家を借りる前には、いくつか押さえておきたい確認事項があります。
ここでは後悔しないためのチェックポイントを5つ紹介します。

1.住める期間を確認する

一軒家を借りるときは、契約期間をしっかり確認しておくことが大切です。
定期借家契約の場合、住める期間があらかじめ決まっているので、長く暮らしたい人は普通借家契約の物件を選ぶほうが安心です。
将来的に退去が必要になる場合もあるため、契約内容をしっかりチェックしておきましょう。

定期借家契約とは?普通借家との違いと借りる前に知っておきたい注意点

2.家賃や生活コストを把握する

一軒家は、快適な条件が整っているほど家賃が高く設定されており、場合によっては住宅ローンの月額と同じくらいの金額になることもあります。
さらに家賃以外でも、光熱費や借主負担の維持費などがかかるため、生活コストも忘れずに確認しておくと安心です。

3.誰が管理するかを確認する

一軒家の管理は、大家さん自身であることも多いです。
その場合、共益費や管理費がかからない代わりに、庭や浄化槽の管理など入居者の負担になることが多いのが事実です。
また、大家さんが管理に慣れていない場合は、トラブル対応に時間がかかることもあります。
そのため、誰か管理をするのかや、借主側の負担の内容をきちんと把握しておきましょう。

4.特約や使用制限がないか確認する

残置物など、契約上の制限がある場合もあります。
残置物は勝手に処分できずに持ち主の帰住まで保管しておかないといけない場合や、一部の部屋(または物)が使用禁止である場合も。
こちらも事前にしっかり確認しておくことが大切です。

5.物件の周辺環境をチェックする

一軒家の賃貸では、周辺環境や地域との関わり方も暮らしやすさに影響します。
隣家との距離感や、自治会・町内会への参加が必要な場合もあるため、気軽な賃貸暮らしのつもりでも注意が必要です。
加えて、耐震基準や災害リスクも確認しておくと安心です。
ハザードマップや建物の耐震情報をチェックして、安全面でも後悔しない選択を心がけましょう。


一軒家の賃貸は、やめた方がいいといわれるデメリットも確かにあります。
しかし、はじめから賃貸用に建てられた一軒家(戸建て)であれば、快適さや安全性を確保しつつデメリットを大きく減らすことも可能です。
そのほか、戸建て感覚で暮らせる「メゾネットタイプ」の物件という選択肢もあります。

【図説】メゾネットタイプとはどんな物件?階段がある暮らしのメリット・デメリットを徹底解説!

自分や家族のライフスタイルに合った一軒家を選ぶのだ~

名古屋市の「一戸建て・一軒家」の賃貸物件を探そう!

ニッショーで名古屋市の「一戸建て・一軒家」付き物件を探してみよう。

  1. ニッショー.jp
  2. サガッシーのなるほどふむふむ
  3. 一軒家の賃貸はやめた方がいい?メリット・デメリットと後悔しない選び方
NARUHODO FUMU FUMU

愛知・岐阜・三重で50年以上、地域密着の直営主義でお部屋探しを提供している不動産会社【ニッショー】が運営するWebマガジン。
思わず「なるほど〜」「ふむふむ」とうなずけるようなイチオシ情報をサガッシーとともにお届けします!