定期借家契約とは?普通借家との違いと借りる前に知っておきたい注意点

賃貸物件を探していると、「定期借家契約」という言葉を見かけることがあります。
普通の賃貸契約と違い、契約期間が決まっていて更新がなく、満了時には退去しなければなりません。
短期間だけ住みたい人にはメリットがありますが、長く住みたい人は注意が必要です。
この記事では、定期借家契約の基本や普通借家との違い、メリット・デメリットをわかりやすく解説します。
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定期借家契約とは?
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普通借家契約との違い
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定期借家契約ならではのメリット
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定期借家契約のデメリットと注意点
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誤解しやすいポイント
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定期借家契約はこんな人に向いている
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契約前に確認しておきたいチェックポイント

通常の賃貸契約(普通借家契約)では、多くの場合は更新して住み続けることができますが、定期借家契約では更新がなく、契約期間満了と同時に退去しなければなりません。
契約期間は1年や2年といった短期のものから、5年以上の長期のものまでさまざま。
ただしどの期間であっても、「契約期間が終了すれば退去する」という点が最大の特徴です。
聞きなれない契約のため不安を感じる方も多いですが、仕組みを理解すれば難しいものではありません。
例えば「転勤や進学などで住む期間が決まっている人」や「家賃を抑えたい人」にとっては、選択肢の一つとなり得る契約形態です。
普通借家契約との違い

普通借家契約と定期借家契約は、いずれも賃貸物件の契約形式ですが、仕組みにいくつか大きな違いがあります。
ここでは、入居者にとって特に重要なポイントを整理します。
- 更新できるかどうかの違い
- 契約期間の考え方の違い
- 契約方法の違い
- 途中解約の違い
- 普通借家と定期借家の主な違いを表でチェック
更新できるかどうかの違い
普通借家契約では、契約期間が満了しても入居者が希望すれば更新が可能です。
大家さんが更新を拒否できるのは、正当な理由がある場合に限られます。
一方、定期借家契約では契約満了と同時に終了し、更新はありません。
ただし、大家さん・借主双方が合意した場合に限り再契約ができます。
契約期間の考え方の違い
普通借家契約では、契約期間は1年以上とされ、一般的に1〜2年で設定されます。
更新を重ねることで、長く住み続けることが可能です。
定期借家契約では、契約期間に法律上の上限はなく、1年未満の設定も可能です。
ただし、大家さんがあらかじめ定めた期間で契約が終了するため、入居者はその条件に沿って住むことになります。
契約方法の違い
普通借家契約は口頭でも成立しますが、トラブル防止のため実務上は契約書を交わすのが一般的です。
定期借家契約は必ず書面で結ぶ必要があり、さらに「更新がない契約である」ことを文書で説明しなければなりません。
口頭契約では成立しない点が大きな特徴です。
途中解約の違い
普通借家契約では、契約書で定められた予告期間を守れば途中解約が可能で、違約金が発生しないケースが一般的です。
ただし、特約で条件が付く場合もあるため注意が必要です。
一方、定期借家契約は原則として途中解約できません。
満了前に退去すると残り期間の家賃を請求されるケースもありますが、やむを得ない事情がある場合に限り、認められることもあります。
普通借家と定期借家の主な違いを表でチェック
普通借家契約 | 定期借家契約 | |
---|---|---|
更新 | 入居者希望で更新可(大家は正当事由がないと拒否不可) | 更新なし(合意あれば再契約可) |
契約期間 | 1〜2年が一般的(更新で長期可) | 契約期間=住める期間(満了で終了) |
契約方法 | 口頭でも可(実務は書面) | 公正証書等の書面+契約書とは別の書面で説明義務あり |
途中解約 | 解約予告期間があれば可 | 原則不可(居住用200㎡未満かつやむを得ない事情がある場合のみ可) |
定期借家契約ならではのメリット
定期借家契約には、普通の賃貸契約にはない特徴があり、条件によっては大きなメリットがあります。
ここでは、特に押さえておきたい3つのポイントに分けて解説します。
1.家賃が割安なことが多い
定期借家契約は契約満了で必ず退去となるため、入居希望者が限られる傾向があります。
その分、家賃を通常より低めに設定している物件もあり、条件に合えば割安に住めるのが魅力です。
2.短期間の利用に向いている
契約期間が最初から決まっているため、転勤・進学・短期滞在など、住む期間がはっきりしている人に最適です。
短期間だけ住みたい場合、普通借家契約より柔軟に対応してもらえることがあります。
3.住まいの選択肢が広がる
定期借家契約では、通常の賃貸用住宅だけでなく、リロケーション物件(転勤中の自宅を一定期間だけ貸し出すもの)や分譲マンション・一戸建てなど、比較的新しく、設備の充実した住まいを選べるケースがあります。
定期借家契約のデメリットと注意点
定期借家契約にはメリットがある一方で、長く住みたい人や契約条件をよく確認せずに入居すると不便に感じる点もあります。
ここでは、特に注意しておきたいポイントを3つに分けて解説します。
1.契約満了で必ず退去しなければならない
定期借家契約の最大の特徴は、契約期間が終わると更新できず必ず退去しなければならないことです。
長く住み続けたい場合や、更新を前提に物件を選びたい場合は不向きです。
2.途中解約が制限される場合がある
定期借家契約は、原則として契約期間の途中で解約することができません。
どうしても解約したい場合でも、契約内容によっては残り期間分の家賃を請求される可能性があります。
ただし、転勤や療養、親族の介護などやむを得ない事情があるときは、中途解約が認められる場合もあります(※住居用かつ床面積200㎡未満の物件に限られます)。
3.再契約が必ずできるわけではない
契約期間終了後に再契約を希望しても、大家さんが応じるとは限らない点も注意です。
再契約が可能か、条件はどうなるかを事前に確認しておくことで、トラブルを避けやすくなります。
再契約は、大家さんと借主双方の合意があった場合に限り成立します。
誤解しやすいポイント

定期借家契約は聞きなれない契約形態のため、いくつか誤解されやすい点があります。
特に「再契約」と「途中解約」については、勘違いするとトラブルや不安の原因になりやすいので注意が必要です。
再契約できる=更新できる、ではない
定期借家契約は契約期間が終了しても自動で更新されません。
契約期間終了後に再契約できる場合もありますが、これは更新ではなく、新たに契約を結ぶ行為です。
大家さんが同意すれば再契約は可能ですが、条件や家賃が変わることもあるため、更新とは別物と考えておきましょう。
途中解約できるケースは限られている
契約期間の途中で引っ越す場合、普通借家契約のように自由に解約できるわけではありません。
定期借家契約では、契約書に定められた特別な条件がある場合のみ途中解約が可能です。
途中解約を希望する場合は、事前に契約書を確認し、違約金や手続きの条件を把握しておくことが重要です。
定期借家契約はこんな人に向いている
定期借家契約は契約期間の制約がある一方で、条件や状況によっては大きなメリットがあります。
ここでは、特に定期借家契約が向いている人の特徴を整理します。
短期間だけ住みたい人
転勤や進学、研修などで住む期間がはっきり決まっている人には最適です。
契約期間があらかじめ決まっているため、短期間だけ住みたい場合に柔軟に対応してもらいやすいのが特徴です。
家賃を抑えたい人
定期借家契約は契約期間が限られている分、家賃を相場より低く設定している物件が多いです。
家賃を抑えつつ、期間限定で住む場合には大きなメリットになります。
柔軟な契約条件を希望する人
定期借家契約では、通常の賃貸では入居が難しいケースでも契約できる場合があります。
「短期間だけ住みたいけど物件が見つからない」という人に向いています。
契約前に確認しておきたいチェックポイント

定期借家契約は契約期間や更新のルールが特殊なため、契約前にしっかり確認しておくことが大切です。
ここでは、契約時にチェックしておきたいポイントをまとめます。
- 契約期間と満了日を確認する
- 再契約や更新の条件を確認する
- 途中解約の条件を確認する
- 家賃や初期費用の条件を確認する
- 退去時の条件を確認する
1.契約期間と満了日を確認する
契約書で契約期間の開始日と終了日を必ず確認しましょう。
期間満了で自動的に契約が終了するため、退去時期を間違えるとトラブルにつながります。
2.再契約や更新の条件を確認する
再契約が可能か、条件や家賃はどうなるかを確認しましょう。
再契約は更新とは異なり、大家さんの合意が必要で、条件が変わる場合もあります。
3.途中解約の条件を確認する
契約期間中に引っ越す可能性がある場合は、途中解約が可能かどうか、違約金や手続きの条件を確認しておきましょう。
契約書に明記されていない場合は、事前に不動産会社に確認するのが安心です。
4.家賃や初期費用の条件を確認する
家賃の支払方法や金額、敷金・礼金などの初期費用についても契約前に確認しましょう。
定期借家契約は短期利用の場合、家賃や初期費用の設定が普通借家と異なることがあります。
5.退去時の条件を確認する
退去時の手続きや原状回復の範囲についても事前に把握しておくことが大切です。
契約期間終了時にスムーズに退去できるよう、契約書でしっかり確認しましょう。
定期借家は短期間だけ住みたい人に便利なのだ!

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