スケルトン物件とは？初心者でもわかる意味やメリット・デメリット、注意点まとめ

店舗の開業に向けて物件を探していると、「スケルトン」という言葉を目にすることがあります。
この記事では「スケルトン」とは何か、メリット・デメリット、スケルトン物件で失敗しないための注意点までくわしく解説しています。
これから店舗開業を考えている方や、スケルトン物件が気になっている方はぜひ参考にしてください。

• スケルトン物件とは

• スケルトン物件のメリット

• スケルトン物件のデメリット

• スケルトン物件に向いている人

• スケルトン物件で失敗しないための注意点

• よくある質問

「スケルトン物件」とは、内装や設備がほとんど何もない、文字通り骨組みだけの状態のテナント物件のことです。
壁や床、天井などの仕上げは最低限で、エアコンや照明、トイレなどの設備もついていない場合がほとんどです。
そのため、自分好みに内装や設備を一から作り上げられる自由度の高い物件ということになります。
また、スケルトン物件は退去時に「原状回復」として、再度スケルトンの状態に戻すことが求められます。

居抜き物件との違い

「スケルトン」の反対の意味として「居抜き」があります。
これは前の店舗の内装や設備が残されており、そのまま使用することができる物件を指します。

店舗を借りる際には「スケルトン」か「居抜き」かを選ぶことになるため、開業予定の店舗にはどちらが合っているか判断することが大切です。

スケルトン物件のメリット

スケルトン物件のメリットをくわしく見ていきましょう。

メリット

・内装を自由にデザインできる
・最新の設備を導入しやすい
・古い設備や内装を撤去する手間がない
・物件の構造や寸法が把握しやすい
・思い通りの動線にできる
・物件によっては賃料が安めなケースも
・オリジナリティを出せる

内装を自由にデザインできる

業種やブランドイメージに合わせた空間づくりが可能です。
同業種の場合でも、前の店の雰囲気が一切残らないので、新規オープン感をしっかり演出することができます。

最新の設備を導入しやすい

空調・照明・給排水などをゼロから設計できるため、古い設備を流用する必要がありません。
また、最新の設備を導入しやすく、より快適で効率の良い店舗づくりができます。

古い設備や内装を撤去する手間がない

元の内装が残っていないため、不要な造作を壊すための解体工事が不要です。
撤去費用や時間を省けるため、工事の見通しも立てやすくなります。

物件の構造や寸法が把握しやすい

壁や天井がむき出しの状態なため、配管・梁・電気配線などの位置を正確に確認できます。
工事中のトラブルや設計ミスの防止にもつながります。

思い通りの動線にできる

店舗スタッフや客の動きを想定しながら、入口からサービス、退店までの流れを自由に設計できます。
業種によっては回転率アップや作業効率向上にも直結します。

物件によっては賃料が安めなケースも

内装付き物件と比べると、貸主側の負担が少ない分、賃料が低めに設定されている場合があります。
初期投資にかかる内装費とのバランスを見て判断しやすいでしょう。

オリジナリティを出せる

競合店との差別化を図りやすく、SNS映えや写真映えする店舗設計も可能です。
唯一無二のお店にこだわる人にとっては大きな魅力です。

スケルトン物件のデメリット

スケルトン物件には、メリットだけでなく、以下のデメリットもあります。

デメリット

・内装費用が高くなりがち
・開業までに時間がかかる
・設備に関する知識が必要
・業種によっては設備工事が難航する
・完成イメージが湧きづらい
・業者選びが重要になる
・退去時にはスケルトンに戻す必要がある

内装費用が高くなりがち

すべてをゼロから作る必要があるため、照明・床・壁・天井・空調・給排水などの工事費がかさみやすいです。
内装費は数百万円〜1,000万円を超えることもあります。

開業までに時間がかかる

内装が何もないスケルトンの状態から店舗を仕上げるには、設計・施工の時間がかかります。
通常、着工から完成まで1〜2ヶ月は見ておく必要があり、早く開業したい人には不向きな場合があります。

設備に関する知識が必要

自由に作れる分、図面のチェックや施工会社との打ち合わせなどが多くなります。
店舗づくりに関する知識がないと、希望通りに進まなかったり、無駄な出費が出ることも。

業種によっては設備工事が難航する

飲食店や美容系などは、排気・排水・給湯などの設備工事が複雑で、専門業者による施工が必要です。
消防法や保健所の規制をクリアする必要があり、ビルの構造次第では希望する設備が設置できないこともあります。
また、工事が進むと、予想していなかった修理や設計の変更が出て、当初の見積もりよりお金がかかることも。

完成イメージが湧きづらい

完成イメージがあいまいだと、工事完了後に「思ってた雰囲気と違う」と感じることも。
やり直しにはコストと時間がかかるため、施工前にしっかりとしたイメージ共有やプラン作成が不可欠です。
希望のイメージを業者に伝え、設計段階で3Dパースや内装イメージをしっかり確認しておきましょう。

業者選びが重要になる

スケルトン物件では、設計〜施工まで自由にできるため、業者選びも非常に重要です。
丁寧なヒアリング力、言語化しづらいイメージまで正確にくみ取ってくれるコミュニケーション力と提案力のある業者を選ぶことが大切です。
見積もりの比較、過去実績も確認しながら、予算オーバーや施工ミスにつながらないよう注意しましょう。

退去時にはスケルトンに戻す必要がある

スケルトン物件は、退去時にも「スケルトンに戻す」ことを求められることが多いです。
居抜き物件よりも原状回復費用が高くつく可能性があるので、契約時の確認が必須です。

スケルトン物件に向いている人

スケルトン物件は「自由に空間づくりをしたい」という人にぴったりな選択肢です。
ここでは、スケルトン物件に向いている人を紹介しています。

理想の店舗を一から作りたい人

自分の理想のお店のイメージが決まっていて、壁や床材、家具、照明、小物にいたるまで新しく揃えたい人に向いています。
コンセプトに合わせて雰囲気を作れるため、ブランディングにこだわりたい人に向いています。

設計やデザインにこだわりがある人

動線や細かいディテールまで自分で決めたいという人にもおすすめです。
内装がゼロの状態からスタートできるので、「ここに棚をつけたい」「お客さんの動線はこうしたい」といった細やかな要望にも対応できます。

開業までに十分な準備期間を取れる人

スケルトン物件は、内装工事を含めてオープンまでに時間がかかるのが一般的です。
内装の打ち合わせや設計、許認可の取得などで数ヶ月単位の準備期間が必要な場合もあるため、スケジュールに余裕をもたせて動ける人に向いています。

依頼する施工業者が決まっている人

スケルトン物件は、設計・施工ともに自由ですが、その分トラブルが起きやすい面もあります。
信頼できる業者を自分で手配できる人や、2店目の開業などですでに実績のある業者とつながりがある人は、安心して工事を進められるでしょう。

＞上記に当てはまらなかった人には「居抜き物件」がおすすめ！

スケルトン物件で失敗しないための注意点

スケルトン物件は自由度が高い反面、計画や準備に時間もお金もかかります。
ここでは、スケルトン物件で失敗しないための注意点を紹介します。

■ 予算の計画をしっかり立てる

スケルトン物件は、家賃とは別に内装工事費・設備費・設計費などの初期費用が大きくかかります。
とくに飲食店や美容室などは、排気・排水・給湯・電気工事などの専門設備が必要になり、費用がかさみやすい傾向があります。
賃料＋工事費＋その他初期費用をまとめて試算し、全体の予算を明確にしておきましょう。

■ 業種に合った設備やレイアウトをイメージする

スケルトン状態では、空間を自由に使える分「どこに何を置くか」「どんな動線がいいか」などの設計力が求められます。
たとえば飲食店なら厨房の広さや換気ルート、美容室ならカットスペースとシャンプー台の位置など、業種ごとに必要な機能やレイアウトの工夫があります。
イメージが難しい場合は、同業他社のレイアウト事例を参考にするのもおすすめです。

■ 不動産会社や施工業者としっかり相談する

スケルトン物件は自由度が高い分、「どこまでできるか」「どんな制約があるか」がわかりにくいこともあります。
たとえば、ビルの構造上「重い設備が設置できない」「排水の勾配が取れない」など、希望どおりにいかないケースも少なくありません。
物件を選ぶ段階で、不動産会社に「この業種で出店する場合、この物件で問題ないか」を相談し、必要に応じて施工業者にも現地を見てもらうと安心です。

よくある質問

初めてスケルトン物件を検討する人にとっては、わからないことも多いはず。
ここでは、「スケルトン物件」に関するよくある質問を紹介します。