フリーレントは得とは限らない?デメリットと注意点をわかりやすく解説
フリーレントとは、一定期間「家賃が無料」になる賃貸契約のことです。
ここでは、フリーレントの仕組みとデメリットを整理し、どんな人に向いているのかを解説します。
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フリーレントとは?お得に見える仕組み
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フリーレントにしてある3つの理由
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フリーレント物件の主なデメリット
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家賃が安いフリーレント物件の注意点
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家賃が高いフリーレント物件の注意点
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フリーレント物件に向いている人
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フリーレント物件に向いていない人
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フリーレント物件を借りる前のチェックポイント
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初期費用を抑えたいならこんな選択肢も
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よくある質問
フリーレントとは、入居後1か月〜2か月程度の家賃が無料になる契約形態です。
一見するとお得に見えやすい仕組みになっています。
お得に見えやすい理由
・初期費用が少なくなる
・「1か月無料」などの表現が強く印象に残りやすい
・無料期間が終わったあとの家賃負担を意識しにくい
このように、支払いのタイミングや見せ方によって、実際よりもお得に感じやすくなっています。
しかし、無料になるのはあくまで「家賃」のみで、管理費や共益費は別途発生するケースが一般的です。
また、契約書上の家賃は変わらないため、フリーレント期間が終了すると通常の家賃が発生します。
そのため、フリーレントは「思っていたより得ではなかった」と感じてしまうこともあります。
フリーレント物件を契約する際は、デメリットや注意点を把握しておく必要があるのです。
フリーレントにしてある3つの理由
貸主がフリーレントを設定する背景には、主に3つの理由があります。
①空室期間を短くするため
フリーレントは、空室が長引いている物件を早く埋める目的で設定されることがあります。
家賃を下げてしまうと、周辺相場に影響したり、次回募集時に「安い物件」という印象が残ったりするため、あえて家賃は据え置いたまま、一定期間を無料にする方法が選ばれます。
この場合、物件自体に大きな欠点があるとは限りません。
入居者の退去時期や募集開始のタイミングが合わず、一時的に空室対策としてフリーレントが付いているケースもあります。
そのため、フリーレント物件の中には、立地や設備などが好条件で「たまたまフリーレントが付いているだけ」というケースもあります。
このような物件であれば、フリーレントはあくまでおまけとして捉え、条件全体に納得できるかどうかを基準に検討するとよいでしょう。
②不利な条件をカバーするため
立地や築年数、設備などの条件が、周辺の物件と比べてやや見劣りする場合に、フリーレントが設定されることもあります。
家賃を下げる代わりに、「最初の1か月が無料」という分かりやすいメリットを提示することで、内見や検討の対象に入りやすくする狙いです。
こうした物件では、フリーレントだけに目を向けるのではなく、家賃や設備、住環境なども含めて、総合的に納得できるかを確認することが大切です。
③家賃を下げずに募集するため
フリーレントは、家賃を値下げせずに入居者を募集したいという貸主側の事情から設定されることもあります。
一度家賃を下げると、次回の募集や更新時にも影響が出やすいため、あくまで一時的な対応としてフリーレントが選ばれます。
その結果、更新後の家賃が相場より高く感じられたり、短期解約時に違約金が設定されていたりするケースもあります。
フリーレントの有無だけで判断せず、契約条件まで含めて確認することが重要です。
フリーレント物件の主なデメリット
フリーレントは一見お得に見える仕組みですが、契約内容によっては注意すべき点もあります。
ここでは、フリーレント物件によく見られるデメリットを解説します。
デメリット
・長く住まないと損になるケースが多い
・フリーレント期間後の家賃を高く感じやすい
・物件数が少ない
・初期費用は安く見えても、トータルでは高くなることがある
・長く住まないと損になるケースが多い
フリーレント物件では、短期解約の違約金が発生するケースがあります。
たとえば「2年未満で退去した場合、家賃1か月分の違約金がかかる」といった条件です。
この場合、フリーレントで1か月分の家賃が無料になっていても、退去時に同額の違約金を支払うことになり、結果的に得をしていないことになります。
さらに、「1年未満に退去した場合、家賃2か月分の違約金がかかる」条件であれば、フリーレント以上の負担が発生し、損をしてしまうケースもあります。
転勤や生活環境の変化で早めに退去する可能性がある人は、フリーレントの条件をよく確認しておかないと「無料だったはずなのに損をした」と感じやすくなります。
・フリーレント期間後の家賃を高く感じやすい
フリーレントは、家賃を下げずに入居してもらうための仕組みです。
そのため、無料期間が終了すると、契約時に設定されていた家賃がそのまま発生します。
最初の負担が軽かった分、月々の家賃が割高に感じられるケースもあります。
フリーレントがあるかどうかに関わらず、契約前に「この家賃を無理なく払い続けられるか」を基準に判断することが大切です。
・物件数が少ない
フリーレントを必須条件にしてしまうと、物件数が大きく限られてしまうことがあります。
エリアや築年数、間取りなどの条件よりもフリーレントを優先した結果、本来の希望から外れた物件を選んでしまうケースも少なくありません。
条件を絞りすぎず、フリーレントはあくまで判断材料の一つとして考える方が、後悔しにくい物件選びにつながります。
・初期費用は安く見えても、トータルでは高くなることがある
フリーレントがあると、入居時の支払いが少なく見えるため、お得に感じやすい傾向があります。
しかし、家賃が高めに設定されている場合や、更新料・違約金などの条件を含めて考えると、初期費用の総額が必ずしも安くなるとは限りません。
最初にかかる費用だけで判断せず、1年、2年と住んだ場合の総額をイメージして比較することが、後悔しないためのポイントです。
家賃が安いフリーレント物件の注意点
家賃が安いフリーレント物件は、金額面のメリットが小さく、条件面の妥協が起きやすい点に注意が必要です。
- 1か月無料でも、家賃が5万円以下の場合は金額的なメリットも少ない
- 条件の弱さをフリーレントで補っているケースがある
- フリーレントなしでも、初期費用や総額が近い物件が見つかることが多い
そのため、フリーレントの有無だけで判断すると、結果的に条件の悪い物件を選んでしまう可能性があります。
同じ家賃帯の物件と総額・条件を比較したうえで検討することが大切です。
家賃が高いフリーレント物件の注意点
家賃が高いフリーレント物件は、無料期間のインパクトが大きい反面、長期的な支払い負担を見落としやすい点に注意が必要です。
- 10万円を超える家賃の場合、長期入居を前提とした契約になりやすい
- フリーレント終了後、毎月の家賃が負担に感じやすい
- 「この家賃を払い続けるなら購入も検討できる」と感じるケースもある
そのため、賃貸の住み替えやすさを重視したい人にとっては、家賃の高さによってそのメリットが薄れやすい点はデメリットといえるでしょう。
フリーレント物件に向いている人
フリーレント物件は、住む期間や引っ越しの目的によって向き・不向きが分かれます。
ここでは、フリーレントのメリットを活かしやすい人の特徴を紹介します。
一定期間以上住む予定がある人
フリーレント物件は、長く住むことを前提としているケースが多く、一定期間以上入居する予定がある人には向いています。
短期解約の違約金や条件を気にせず、無料期間のメリットを活かしやすいためです。
転勤や住み替えの予定がなく、生活拠点がしばらく変わらない人ほど、フリーレントの恩恵を感じやすくなります。
初期費用をできるだけ抑えたい人
引っ越し時の出費を抑えたい人にとって、フリーレントは魅力的な選択肢です。
敷金や礼金に加えて、引っ越し費用や家具・家電の購入が重なるタイミングでは、家賃1か月分が浮くだけでも負担は軽くなります。
また、住み替えのタイミングによっては、前の住まいと新居の家賃が重なりやすくなりますが、フリーレントがあれば二重家賃を抑えられる場合もあります。
引っ越し時期が重なってしまう人にとっては、現実的な助けになるでしょう。
契約内容をしっかり確認したい人
フリーレント物件は、家賃が無料になる期間がある分、契約条件が細かく設定されていることがあります。
最低入居期間や短期解約時の違約金、更新後の家賃条件などを一つずつ確認しながら検討できる人であれば、フリーレントのメリットを活かしやすくなります。
条件を把握したうえで他の物件と比較することで、「フリーレントが付いているから選ぶ」のではなく、自分の希望に合った物件かどうかを冷静に判断しやすくなります。
フリーレント物件に向いていない人
一方で、フリーレントが必ずしも得にならないケースもあります。
契約内容によっては、通常の賃貸物件の方が安心できる場合もあります。
短期間で引っ越す可能性がある人
数か月〜1年程度で引っ越す可能性がある人は、フリーレント物件には向いていない場合があります。
短期解約時の違約金や条件によって、結果的に負担が増えてしまうことがあるためです。
転勤やライフスタイルの変化が見込まれる場合は、フリーレントの有無だけで判断せず、契約条件を慎重に比較する必要があります。
月々の家賃を重視したい人
毎月の支出をできるだけ抑えたい人にとっては、フリーレント物件が必ずしも最適とは限りません。
無料期間が終わると家賃が通常の料金に戻るため、負担に感じるケースもあります。
長く住むほど月々の家賃差が効いてくるため、フリーレントがない物件も含めて、総合的に比較することが安心につながります。
契約条件を確認するのが苦手な人
フリーレント物件は、契約内容が複雑になりやすい傾向があります。
最低入居期間や短期解約時の違約金、フリーレント適用の条件など、細かなルールが設定されているケースも少なくありません。
そのため、契約書の内容を十分に確認しないと「知らないうちに不利な条件を受け入れていた」と後から気づく可能性があります。
細かい条件を確認するのが苦手な人は、フリーレントの有無だけで判断せず、シンプルな契約内容の物件を選んだ方が安心といえるでしょう。
フリーレント物件を借りる前のチェックポイント
ここでは、フリーレント物件を契約する前に確認しておきたいポイントを整理します。
フリーレントの期間や適用条件を確認したうえで、次の点もチェックしておきましょう。
1.短期解約時の条件を確認する
2.期間終了後の家賃を確認する
3.初期費用は総額で確認する
4.キャンペーンか常設か確認する
5.フリーレント以外の条件が自分の希望に合うか確認する
1.短期解約時の条件を確認する
フリーレント物件では、2年未満など短期解約をした場合に違約金が発生したり、無料期間分の家賃を請求されたりすることがあります。
そのため、最低入居期間がどのくらい設定されているのかは、必ず契約前に確認しておきたいポイントです。
特に、転勤や生活環境の変化で引っ越しの可能性がある人は、解約時の条件まで含めて検討する必要があります。
2.期間終了後の家賃を確認する
フリーレントは、家賃を下げずに募集するための仕組みです。
そのため、無料期間が終了したあとの家賃が、周辺相場と比べて高く設定されている場合もあります。
一見お得に見えても、無料期間終了後の家賃が相場より高ければ、トータルでは割高になる可能性があります。
通常家賃がいくらなのか、無理なく払い続けられる金額かどうかを確認することが大切です。
3.初期費用は総額で確認する
フリーレントがあると、初期費用が安く見えやすくなります。
しかし、敷金・礼金、仲介手数料、保証料などを含めた総額で比較すると、必ずしもお得とは限りません。
フリーレントの有無だけで判断せず、他の物件とも比較しながら、トータルでいくらかかるのかを確認することが大切です。
4.キャンペーンか常設か確認する
フリーレントには、期間限定のキャンペーンとして設定されている場合と、常設条件として付いている場合があります。
キャンペーンの場合は、「今だけ」「残りわずか」といった表現で、入居を急がせる意図が含まれていることもあります。
急いで決めてしまう前に、なぜフリーレントが付いているのかを冷静に考えることで、不要な判断ミスを防ぎやすくなります。
5.フリーレント以外の条件が自分の希望に合うか確認する
フリーレントであっても、立地や間取り、設備などの条件が自分の希望と合っていなければ、満足度は下がってしまいます。
「家賃が無料でお得」という理由だけで選ぶと、入居後に住み心地が悪くて後悔することも。
フリーレントを除いた条件でも納得できるかどうかを基準に考えると、結果的に後悔しにくい物件選びにつながります。
初期費用を抑えたいならこんな選択肢も
初期費用を抑えたい場合、フリーレント以外の方法もあります。ここでは、他の選択肢を紹介します。
■敷金・礼金なし物件を選ぶ
初期費用を抑えたい場合、敷金・礼金が不要な物件を選ぶという選択肢があります。
家賃1〜2か月分がそのまま不要になるため、フリーレントと同程度、もしくはそれ以上に初期費用を抑えられるケースもあります。
ただし、退去時の原状回復費用が実費精算になるなど、条件が異なることもあるため、契約内容は事前に確認しておくことが大切です。
■家賃そのものが安い物件を選ぶ
フリーレントが付いていても、家賃が相場より高めに設定されている場合、長く住むほど割高になることがあります。
そのため、初期費用だけでなく、毎月の家賃を重視して物件を選ぶのも一つの選択肢です。
家賃が抑えられていれば、長く住んでも負担が少なく、結果的にフリーレントより総支出が軽くなる場合もあります。
■仲介手数料やキャンペーンを比較する
物件によっては、仲介手数料が割引されていたり、期間限定のキャンペーンが実施されていたりすることがあります。
こうした条件をうまく活用すれば、フリーレントがなくても初期費用を抑えられる可能性があります。
特に、同じような条件の物件が複数ある場合は、家賃や立地だけでなく、初期費用の内訳まで比較することで、自分に合った物件を選びやすくなります。
よくある質問
ここでは、フリーレントに関する質問をまとめました。
フリーレントはどの期間が無料になるの?
- フリーレントになる期間は、物件や契約内容によって異なります。
よくあるのは「入居開始日から1か月分」や「契約開始月の家賃が無料」といったパターンです。
日割り計算になる場合や、翌月分が無料になる場合もあるため、どの期間が対象なのかは契約書や重要事項説明で必ず確認しましょう。
フリーレント期間中に解約するとどうなる?
- フリーレント期間中、または一定期間内に解約すると、違約金が発生したり、無料だった家賃分を請求されたりするケースがあります。
これは、短期解約を防ぐ目的で設定されていることが多い条件です。
「フリーレントだからいつ辞めても問題ない」と思い込まず、最低入居期間や解約条件を事前に確認することが重要です。
フリーレントは交渉できる?
- 物件や時期によっては、フリーレントの期間を延ばしてもらえたり、フリーレントを付けてもらえたりする可能性はあります。
ただし、必ず応じてもらえるわけではなく、空室状況や募集条件によって左右されます。
無理に交渉するよりも、ほかの条件とあわせて全体のバランスを見ることが現実的です。
フリーレントと家賃交渉はどちらがお得?
- 一概にどちらがお得とは言えません。
短期間の入居であればフリーレントのほうがメリットを感じやすい一方、長く住む場合は家賃が下がるほうが総額では安くなることもあります。
どちらが自分に合っているかは、想定する入居期間をもとに、トータルの支払い額で比較するのがおすすめです。
フリーレント物件を探しやすい時期はあるの?
- フリーレント物件は、引っ越しの繁忙期が過ぎたあとや、空室が埋まりにくい時期に増える傾向があります。
具体的には、春の繁忙期後や、夏・冬の動きが落ち着く時期などです。
ただし、時期だけで判断せず、物件ごとの条件や理由を確認することが大切です。
まとめ
フリーレントは、初期費用を抑えたい人にとって魅力的に見える仕組みです。
しかし実際には、「どこまでが無料なのか」「どんな条件が付いているのか」を正しく理解しておく必要があります。
そのため、フリーレントは判断材料のひとつにとどめ、物件条件を優先して探すのがおすすめです。
条件に納得できたうえでフリーレントが付いていれば、結果的にお得といえるでしょう。
フリーレントは最初が無料でも、あとからどうなるかが大事。しっかり中身をチェックするのだ~
- ニッショー.jp
- サガッシーのなるほどふむふむ
- フリーレントは得とは限らない?デメリットと注意点をわかりやすく解説




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