テナントとは?店舗との違いや業種・種類、メリット・デメリットまで解説!

テナントとは?わかりやすく解説

「テナント(tenant)」とは、もともと英語で「借り手」や「賃借人」を意味する言葉です。
つまり、本来は建物やスペースを借りている人や企業のことを指します。
しかし現在、日本の不動産業界では、店舗や事務所などの貸しスペースそのものを「テナント」と呼ぶケースが多くなっています。
そのため、「テナントを探す」「テナント物件」といった使われ方をすることもあります。

テナントと店舗の違い

「テナント」と「店舗」は似たような意味で使われることが多いですが、厳密には異なる概念です。
店舗は、商品の販売やサービスの提供などを行う「営業の場」を意味します。
スーパーや美容室、カフェなどがこれにあたります。
一方、テナントはそうした営業活動を行うために借りる「物件」のことです。
つまり、テナントは箱、店舗はその中で行われる事業と考えるとわかりやすいでしょう。
たとえば、あるビルの1階に美容室が入っている場合、「美容室はテナントに入居している店舗」と表現できます。

テナントの形態

まずは、テナントの形態について「どんな目的で使うのか?」という視点から見ていきましょう。
店舗用・オフィス用・倉庫用など、使い道によって必要な条件や設備も変わってきます。
たとえば、来客があるような美容室やカフェは店舗系、スタッフが事務作業をする場所ならオフィス系、商品を保管するなら倉庫系という分類になります。

店舗系テナント

飲食店や物販店、サービス業など、主に顧客を相手に営業するためのスペースが「店舗系テナント」です。
駅前や商業施設、路面店など、集客力の高い立地が好まれる傾向にあります。

オフィス系テナント

企業の本社・営業所など、従業員が働くための拠点として借りるのが「オフィス系テナント」です。
ビジネス街やオフィスビルに多く、複数の企業が入居する「テナントビル」もよく見られます。

倉庫系テナント

物流や在庫保管などの拠点として使われる「倉庫系テナント」もあります。
広さや天井高、搬入出のしやすさなどが重視されるため、郊外の工業エリアに多く立地しています。

テナントの業種

次に、「どんなビジネスをするのか?」というテナントの業種に注目してみましょう。
業種ごとに必要な設備や周辺環境、法律上の制限が異なります。
特に用途地域によっては、飲食店や物販、美容室、オフィスなどの出店に制限があるため、事前に確認しておくことが大切です。

●飲食店

カフェ、ラーメン屋、居酒屋などの飲食店は、設備と立地の両方が重要です。
排気ダクトや排水設備、ガスの配管などの厨房設備が必要で、これらの有無は物件選びの大きなポイントになります。
また、人通りの多さや視認性も集客に影響するため、立地環境をよく確認しましょう。
造作譲渡の有無もチェックして、初期費用や内装の状態を見極めることが大切です。

●美容院・サロン

美容室・ネイルサロン・整体院などは、リラックスできる空間づくりが重視されます。
居住用マンションの一室を利用する場合には、騒音や衛生面に配慮が必要です。

●物販

アパレルや雑貨、書店などの物品販売は、視認性や導線、陳列スペースの確保がポイントです。
ショッピングモールや路面店が人気の形態です。

●サービス業

学習塾・クリーニング・パソコン教室などのサービス業は、地域密着型で展開されることが多いです。
駐車場の有無や周辺の住宅数が集客に影響します。

●オフィス

士業事務所・IT企業・営業拠点など、多様な業種で活用されます。
交通アクセスの良さ、ビルのセキュリティなどが重要視されます。

テナントの種類

最後に、「どこにある物件か?」という視点から、建物のタイプや立地の違いについて解説します。
テナントには「路面店」「ロードサイド店舗」「商業施設内店舗」「ビルイン店舗」など、いくつかの種類があります。
それぞれに特徴やメリット・デメリットがあるため、自分の出店スタイルに合った種類を選ぶことが大切です。
選び方のポイントは、下記の記事でくわしく解説しています。

店舗の種類と立地タイプの選び方|開業前に知るべきメリット・デメリット

テナントでお店を始めるメリット・デメリット

たとえば飲食店の開業をすることになったとき、場所の選択肢として、自宅でお店を開く場合やキッチンカー、シェアキッチンなどがあります。
ここでは、その中で最も一般的な「テナント(貸店舗・事務所)」で開業する場合のメリットとデメリットを紹介しています。

メリット

・“常設”できる安心感と信頼感
・立地の自由度が高い
・看板や外観での集客がしやすい

メリット1:“常設”できる安心感と信頼感

テナントは、しっかり腰を据えて自分のお店を営業できる拠点になります。
移動販売やシェアキッチンと違い、お客さんにとって「営業時間が決まっている」「きちんとしたお店」という信頼感を得やすいです。
地域に根ざしてリピーターを増やしたい場合や、長く続ける前提で開業したい人にとっては大きなメリットです。

メリット2:立地の自由度が高い

テナントの立地には、ターゲットに合わせて、人通りの多い駅前や繁華街、住宅街などを選ぶことができます。
たとえば若年層を狙うならショッピングエリア、高齢層を狙うなら住宅街など、立地戦略を自由に組めるのが強みです。

メリット3:看板や外観での集客がしやすい

店舗の入り口や看板、ディスプレイなどを通じて道行く人の目に触れる機会が増えます。
飛び込みのお客さんや、たまたま前を通りかかった人にも興味を持ってもらえます。
SNSなどのオンライン集客と組み合わせれば、相乗効果も期待できるでしょう。

デメリット

・賃料や共益費がかかる
・契約や制限がある
・退去時に原状回復が必要

デメリット1:賃料や共益費がかかる

立地や建物のグレードによっては、毎月の賃料負担が大きくなります。
とくにオープン直後で売上が安定しない時期は、固定費が経営を圧迫する可能性も。
物件選びの際は「理想の立地」だけでなく、長期的に無理のない家賃かどうかも見極めが必要です。

デメリット2:契約や制限がある

テナント物件には、用途地域による業種制限や、建物の管理規約など、自由に使えない決まりがある場合も。
たとえば「飲食不可」「重飲食NG」「内装工事に事前許可が必要」など、物件ごとにルールが異なるので注意が必要です。
契約前には管理会社やオーナーとしっかり確認しておくことが大切です。

デメリット3:退去時に原状回復が必要

営業を終えて退去する際、内装や設備を撤去して元の状態に戻す「原状回復」が必要です。
とくに自分で内装を整えた場合、解体費用が高額になる場合もあるため、開業前から出口戦略も考えておくと安心です。

テナントを借りるときの注意点

実際にテナントを借りる際には、以下のポイントに注意することが大切です。

■用途地域の確認
■防火・排水などの設備要件
■契約形態
■造作譲渡の有無

■用途地域の確認

物件の所在地が、どの用途地域に指定されているかによって、できる営業内容が制限される場合があります。
たとえば第一種住居地域では、一定規模以上の店舗が出店できなかったり、風俗営業や深夜営業が禁止されていたりすることもあります。
特に飲食店は、住宅街などで出店できないケースもあるため、事前にしっかり確認することが大切です。
用途地域は市区町村のホームページや都市計画図などで調べることができます。

■防火・排水などの設備要件

業種によっては、特定の設備が必要になります。
たとえば飲食店なら、防火区画や油分を除去するグリストラップという設備が必要です。
また、煙や臭いを外に排出するためのダクト工事が必要になる場合もあります。
美容室やクリニックの場合は、給排水・換気・電気容量などに特別な条件があることも。
設備基準は消防法や建築基準法など法令にも関係するため、管轄の行政機関にも確認しておくと安心です。

■契約形態

テナント契約には、普通借家契約や定期借家契約など、複数の契約形態があります。
普通借家契約は契約更新が可能ですが、定期借家契約は原則として契約満了時に退去しなければなりません。
また、途中解約の可否や、解約予告期間も契約書によって異なります。
さらに、原状回復の範囲や条件が大きな負担となることもあるため、入居前にしっかり確認しておきましょう。

■造作譲渡の有無

前の入居者が残した内装や設備を引き継げる「造作譲渡」がある場合、初期費用を抑えられることがあります。
特に厨房機器や空調設備など、高額な設備をそのまま使えるのは大きなメリットです。
ただし、設備に不具合があったり、譲渡内容が明確でなかったりすることもあるため、契約前に内容を詳細に確認しましょう。
できれば専門業者に状態をチェックしてもらうと安心です。
また、譲渡金の金額が適正かどうかも事前に相場と比較して判断することが大切です。

造作譲渡とは?居抜き物件で開業・閉店するなら知っておきたい基本知識

「テナント」は本来“借りる人”を意味しますが、日本では“貸し出すスペース”そのものを指す言葉として広く使われています。
業種や目的に合ったテナント形態を選ぶことが成功への第一歩です。自分のビジネスに最適な物件を見つけてくださいね。

テナント選びで失敗しないためにも、基本的な知識を押さえておくのだ~

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NARUHODO FUMU FUMU

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