飲食店の物件探し!失敗しない「4つのステップ」でスムーズな開業を目指そう

飲食店の開業は、物件選びで成功が決まると言っても過言ではありません。
立地や設備によって売上や経営のしやすさが左右されるため、慎重な準備が欠かせません。
しかし、「物件がなかなか見つからない」「何から始めたらいいかわからない」そんな悩みを抱える方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、開業準備で押さえておきたい4つのステップを順番に解説します。
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【ステップ1】営業スタイルを決めよう|飲食店の物件探し
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【ステップ2】物件タイプを選ぼう|飲食店の物件探し
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【ステップ3】立地タイプを選ぼう|飲食店の物件探し
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【ステップ4】用途制限や契約条件をチェックしよう|飲食店の物件探し
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物件が決まったら内装・設備工事の準備を進めよう
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飲食店を始めるのに必要な資格・許可
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飲食店経営のスタートに向けて準備しておきたいこと
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よくある質問
まずはどんな形でお店を始めたいか、方向性を明確にしましょう。
ここでは、代表的な3つのスタイルを紹介します。
①テナント(貸店舗・貸事務所)
②自宅開業・店舗併用住宅
③シェアキッチン・キッチンカー
①テナント(貸店舗・貸事務所)
もっとも一般的なのが、商業ビルや路面店などのテナント物件を借りて飲食店を開業するスタイルです。
立地や広さ、内装など希望条件に合わせて物件を探し、自分のお店をつくることができます。
費用はかかりますが、常設店舗を持てるため、しっかりとした店舗運営を目指す人に向いています。
②自宅開業・店舗併用住宅
自宅開業は、自宅の一室を使って開業するスタイルです。
ネイルサロンや個人レッスンなど、スペースや立地にそれほどこだわらなくても良い業種に向いています。
初期費用を抑えられるのが大きなメリットですが、看板を出しづらい・集客が難しいなどの課題もあります。
店舗併用住宅は、1階を店舗、2階を住居とするなど、生活と仕事を一体にした併用住宅スタイルです。
美容室やパン屋、喫茶店などに多く見られます。
自宅部分と合わせてローンが組めることもあり、長期的に腰を据えて開業したい人に向いています。
③シェアキッチン・キッチンカー
キッチンカーなど移動式の販売車両を使ったスタイルもあります。
イベント出店や繁華街での営業など、フットワークの軽さが魅力です。
初期投資を抑えてお試し開業ができるため、フリーランスや副業として始める人に向いています。
調理許可や移動販売に関するルールは自治体によって異なるため、事前の確認が重要です。
【ステップ2】物件タイプを選ぼう|飲食店の物件探し
【ステップ1】でテナント物件を借りることにした場合は、次に物件タイプについて決めましょう。
物件タイプは、大きく分けて「居抜き物件」と「スケルトン物件」の2種類があります。
開業後の運営にも大きく影響するため、立地や初期費用、将来の展望も含めて慎重に検討しましょう。
①居抜き

「居抜き」は、前のテナントが使用していた厨房機器や内装が残っている状態の物件です。
初期費用が抑えられ、開業までのスピードも早いのが魅力です。
②スケルトン

「スケルトン」は、内装や設備が取り払われた状態の物件です。
自由に内装を設計できる反面、費用と時間がかかります。
【ステップ3】立地タイプを選ぼう|飲食店の物件探し
立地もまた、成功のカギを握る重要なポイントです。
立地タイプには、「路面店」「ロードサイド店舗」「商業施設内店舗」「ビルイン店舗」の4種類があります。
営業スタイルやターゲット層に合わせて、適したタイプを選ぶことが大切です。
①路面店
駅近や繁華街など人通りの多いエリアにある、1階の通りに面した店舗。集客力が高く、認知されやすいのが特徴です。
路面店とは?テナントやロードサイド店舗との違いもわかりやすく解説②ロードサイド店舗
幹線道路沿いなどにある、車でのアクセスがメインの店舗。
広い駐車スペースが確保できるほか、自由なお店作りができるのがメリットです。
③商業施設内店舗
ショッピングモールや駅ビル、百貨店などの商業施設に入居するタイプ。
集客力が高く、天候に左右されない点が有利です。
④ビルイン店舗
オフィスビルや雑居ビルの中にあるタイプの店舗。
立地を利用して「隠れ家風」などのコンセプトにすることで、固定客がつきやすく、場合によっては路面店より家賃が抑えられることも。
こちらの記事も参考に!
店舗の種類と立地タイプの選び方|開業前に知るべきメリット・デメリット【ステップ4】用途制限や契約条件をチェックしよう|飲食店の物件探し
飲食店の物件探しは、用途地域や契約条件も重要です。
候補の物件が見つかり次第、確認していきましょう。
①用途地域の確認
都市計画法に基づき、地域ごとに定められた「用途地域」によって、飲食店の開業ができるかどうかが決まります。
たとえば、第一種低層住居専用地域では営業が難しい場合があります。
②建物の用途制限・構造
ビルやマンションの1階を店舗として利用する場合、建物の管理規約で「飲食店不可」となっていないか確認が必要です。
臭いや煙、騒音などが問題になりやすいため、契約前に慎重にチェックしましょう。
③賃貸借契約の内容
物件の契約段階まできたら、賃貸借契約前に「契約期間」「更新料」「原状回復義務」など、運営に関わる重要な項目を細かく確認しておくことが大切です。
とくに居抜き物件の場合、造作譲渡の条件や引き渡し範囲についても明確にしておくとトラブル防止になります。
物件が決まったら内装・設備工事の準備を進めよう
物件が決まったら、いよいよ店舗づくりのフェーズに入ります。
内装デザインや厨房設備、什器の導入など、開業に向けた工事のスケジュールを立てましょう。
内装工事
スケルトン物件の場合は、内装の設計からスタートになります。
施工業者やデザイナーと相談しながら、動線や収容人数、雰囲気などを考慮して設計していきましょう。
居抜き物件の場合も、既存の設備をそのまま使えるか、補修・変更が必要かをチェックします。
厨房機器・設備の導入
飲食店の要となる厨房機器や冷蔵設備は、業種やメニューに応じて選定が必要です。
業務用機器は家庭用と違って高額なので、中古品を活用する方法もあります。
また、空調設備やトイレ、看板なども忘れずに準備しておきましょう。
各種申請・届出
工事が完了したら、保健所の検査や、必要な届出を行います。
検査には時間がかかる場合もあるため、スケジュールに余裕を持って動きましょう。
飲食店を始めるのに必要な資格・許可
飲食店の営業には、例として以下のような法的手続きや資格取得が必要です。
これらは開業前に確実に取得しておく必要があります。
■飲食店営業許可
■食品衛生責任者
■防火管理者・消防関連の手続き
■開業届・青色申告の届け出
■深夜における酒類提供飲食店営業届出
■飲食店営業許可
保健所からの「飲食店営業許可」が必須です。店舗の設備が基準を満たしているかどうか、検査が行われます。
無許可で営業を行うと罰則の対象となるため注意しましょう。
■食品衛生責任者
各店舗に1名の配置が義務付けられており、講習を受けることで1日で取得することができます。
栄養士や調理師など一部の資格を持っている場合は、講習を免除されます。
■防火管理者・消防関連の手続き
客席数が30人を超える施設や一定規模の店舗では、「防火管理者」の選任や「消防計画」の届け出が必要です。
ガス設備の申請なども地域によって異なるため、所轄の消防署に相談し、必要な手続きを行いましょう。
■開業届・青色申告の届け出
個人事業主として開業する場合は、税務署に「開業届」の提出が必要です。
併せて所得税の「青色申告承認申請書」を出せば、節税面でもメリットがあります。
■深夜における酒類提供飲食店営業届出
アルコールをメインとする店舗で、24時以降に酒類を提供する場合には、警察署への「深夜酒類提供飲食店営業開始届出」が必要です。
飲食店経営のスタートに向けて準備しておきたいこと
開業までの物理的な準備だけでなく、経営面での準備も成功には欠かせません。
開業したはいいけれど、すぐに資金が尽きたといったことのないよう、計画的に準備することが大切です。
●コンセプトの明確化
●資金計画・融資対策
●事業計画書の作成
●メニュー開発・仕入れ先の確保
●販促・SNS活用
●コンセプトの明確化
飲食店を開業するうえで、しっかりと考えておきたいのが「コンセプト」です。
どんなジャンルの料理を出すのか、どんな客層に来てほしいのか、店の雰囲気や立地との相性など、お店の軸となる考えを明確にしておきましょう。
コンセプトが定まっていれば、物件選びや内装、メニュー構成、価格帯、さらには販促手段まで一貫性を持って判断できます。
反対に、コンセプトが曖昧なままだと方向性がブレやすく、ターゲットに響かないお店になってしまうリスクがあります。
●資金計画・融資対策
初期費用、運転資金、開業後しばらくの生活費まで見込んだ資金計画を立てましょう。
日本政策金融公庫など、公的融資制度を活用するのも選択肢です。
開業資金には、物件取得費・内装工事費・厨房設備・運転資金など、さまざまな費用がかかります。
必要な金額を見積もり、自己資金や融資の準備をしておきましょう。
●事業計画書の作成
売上予測や客単価、1日あたりの回転数など、現実的な数字に基づいた事業計画を立てておくと、融資を受ける際にも有利になります。
銀行や日本政策金融公庫などで融資を受ける場合、事業計画書の提出が求められます。
メニュー内容、ターゲット層、開業場所、収支計画などを具体的に記載しておくと安心です。
●メニュー開発・仕入れ先の確保
原価率や調理オペレーションを踏まえて、バランスの取れたメニュー設計を行いましょう。
食材や消耗品の仕入れルートも開業前に整えておくと安心です。
●販促・SNS活用
開店前からSNSなどで情報発信を始めると、オープン時の集客につながります。
チラシやWeb広告の活用も検討しましょう。開業日を決めたら、SNSやチラシ、ポスティングなどで宣伝を始めましょう。
オープン前に「プレオープン」や「試食会」などを行って、認知を高めておくのも効果的です。
よくある質問
ここでは、飲食店開業の物件探しでよくある質問をまとめました。
小さい飲食店を開きたい。どんな物件を選べばいい?
- 小規模なお店を開きたい場合は、初期費用を抑えられる「居抜き物件」のほか、短期利用も可能な「シェアキッチン」「間借り」などがおすすめです。
テイクアウト専門や1人での運営を想定しているなら、厨房の広さや導線がコンパクトな物件が向いています。
また、自宅開業や店舗併用住宅という選択肢もあります。
飲食店を開業したいが良い物件がなかなか見つからない。どうすればいい?
- 飲食可の物件は競争率が高く、エリアによってはすぐに埋まってしまうこともあります。
希望条件を見直したり、専門の不動産会社に相談したりするのがおすすめです。
また、居抜き物件や非公開物件はネットに出ないこともあるため、内装制限や契約条件の確認を含めて、早めの情報収集がカギになります。
飲食店の物件探しで失敗しないコツは?
- 物件の立地や広さだけでなく、営業スタイルとの相性や契約条件の制限をしっかり確認することが大切です。
たとえば、住宅街で深夜営業を想定していた場合、住民トラブルになることもあります。
事前に「用途地域」「内装制限」「排気・騒音対策」などもチェックしておくと、後悔の少ない物件選びができます。
飲食店の物件探しは、営業スタイル・立地・物件タイプなど、さまざまな条件から選択する必要があります。
焦って選んでしまうと、後々の営業に支障が出ることもあるため、計画的に進めていくことが重要です。
自分の思い描くお店を、一つずつ現実に近づけていきましょう。
理想のお店をオープンさせるのだ~!

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