賃貸で追い焚き機能は必要?メリット・デメリットと後悔しない判断ポイント

賃貸物件を探していると、「追い焚き機能付きのお風呂」という表記を目にすることが多いのではないでしょうか。
便利そうに見える一方で、「本当に必要?」「ガス代は高くならない?」と迷う人も少なくありません。

追い焚き機能は、ライフスタイルによって向き・不向きが分かれる設備で、すべての人に必須というわけではありません。
この記事では、追い焚き機能の仕組みやメリット・デメリット、賃貸での注意点を整理しながら、後悔しない判断ポイントをわかりやすく解説します。

追い焚き機能とは?

追い焚き機能とは、一度冷めてしまったお風呂のお湯を温め直す機能のことです。
入浴時間がバラバラな家庭でも快適に使えるため、賃貸物件でも人気の設備です。

追い焚き機能といっても、お湯の循環方式(自然循環方式/強制循環方式)や、給湯器の種類(フルオート/オート)によって使い勝手が変わります。
ここでは、追い焚き機能の種類をわかりやすく整理します。

追い焚きの循環方式

追い焚き機能には、お湯の循環方式として自然循環方式と強制循環方式 があります。

■自然循環方式

自然循環方式は、浴槽と給湯器が「2つの穴(2つ穴タイプ)」でつながっており、温かいお湯が上へ、冷たいお湯が下へ移動する性質を利用して循環させる仕組みです。
下の穴から冷めたお湯を取り込み、温めたお湯を上の穴から戻します。

構造がシンプルなため、昔の賃貸物件で多く採用されていましたが、お湯が滞留しやすく、汚れがたまりやすい点には注意が必要です。
そのため、近年ではより衛生的で管理しやすい強制循環方式(1つ穴タイプ)が主流になりつつあります。

■強制循環方式

強制循環方式は、浴槽と給湯器を「1つの穴(1つ穴タイプ)」でつなぎ、ポンプを使ってお湯を循環させる方式です。
穴から冷めたお湯を吸い込み、給湯器で温め直した後、同じ穴から浴槽へ戻します。

現在の賃貸物件での採用率が高く、お湯が滞留しにくいため衛生的で、温度も安定させやすいのが特徴です。
フルオートやオートタイプの追い焚き機能は、強制循環方式で使われるのが一般的です。

追い焚き機能の種類

追い焚き機能には、湯はりや保温の自動化レベルによって「オート」と「フルオート」の2種類があります。

■オート

オートは、スイッチ操作でお湯張りができ、入浴中や入浴後にお湯が冷めた場合は追い焚きや保温を行えるタイプです。
浴槽のお湯が減った場合の足し湯は手動操作になりますが、必要な機能は一通りそろっており、操作もシンプルです。
賃貸物件で採用されることが多く、一人暮らしからファミリーまで使いやすいタイプといえます。

■フルオート

フルオートは、オートの機能に加えて、お湯の量が減った場合の足し湯や、入浴後の配管洗浄まで対応しているタイプです。
入浴中にお湯が減っても設定した湯量・温度を自動で保ってくれるため、家族で入浴時間がずれやすい家庭や、入浴回数が多い場合に便利です。
その分、設備としてはオートよりもグレードが高く、家賃がやや高めになるケースもあります。

追い焚き機能が必要な人・便利な人はどんな人?

追い焚き機能は、あると便利な設備ですが、生活スタイルによって必要度は大きく変わります。
ここでは、特に追い焚き機能が役立つ人の特徴を紹介します。

  • 入浴時間がバラバラなカップルや夫婦
  • 湯船にゆっくり浸かりたい人
  • 光熱費をできるだけ抑えたい人
  • 冬にお風呂が冷めやすい地域に住む人
  • 小さな子どもや高齢者がいる家庭

入浴時間がバラバラなカップルや夫婦

帰宅時間が異なる場合、入浴する時間帯もずれやすくなります。
追い焚き機能があれば、お湯が冷めてしまってもボタンひとつで温め直せるため、快適な状態で入浴しやすくなります。
共働き世帯や、在宅勤務と出社が混在するライフスタイルでも、使い勝手の良い設備といえるでしょう。

湯船にゆっくり浸かりたい人

読書をしたり、スマホを見たり、半身浴をしたりと、長めの入浴を楽しむ人にとって追い焚き機能は便利です。
時間が経つとお湯はどうしても冷めてしまうため、適温をキープできるのは大きなメリット。
冬場の入浴時間も快適に過ごせます。

光熱費をできるだけ抑えたい人

冷めたからといってお湯をすべて入れ替えると、ガス代・水道代が無駄に増えてしまいます。
追い焚き機能を使えば、お湯をそのまま利用できるため入れ替えの回数が減り、結果的に光熱費の節約につながります。
特に家族の人数が多いほど、節約効果を感じやすい設備です。

冬にお風呂が冷めやすい地域に住む人

冬になると浴室全体の温度が下がりやすく、湯船のお湯も冷めるスピードが速くなります。
追い焚き機能があれば、寒い季節でもいつでも適温に戻せるため、寒冷地や築年数のある物件では特に便利です。

小さな子どもや高齢者がいる家庭

子どものお世話や介助が必要な場合、入浴に時間がかかることがあります。
途中でお湯が冷めてもすぐに温度を上げられるため、安心して入浴させられます。
高齢の方がいる家庭では、追い焚き機能で湯温をこまめに調整できるため、極端な温度差を避けやすくなります。
適切な温度設定で使えば、入浴時の負担を抑えられる点もメリットです。

追い焚き機能のメリット

追い焚き機能は、毎日の入浴を快適にするだけでなく、光熱費の節約や入浴時間の自由度アップにもつながる便利な設備です。
ここでは、賃貸物件で追い焚き機能があることで得られる主なメリットを詳しく解説します。

メリット

・お湯が冷めても温度を戻せる
・足し湯をせずに使えるため水があふれにくい
・水道代を抑えやすい
・家族構成を問わず使いやすい

お湯が冷めても温度を戻せる

入浴の間隔が空いてお湯が冷めてしまっても、追い焚き機能があればボタンひとつで適温に戻せます。
帰宅時間がずれがちなカップルや夫婦でも、毎回お湯を張り直す必要がなく、時間を気にせず入浴できるのが魅力です。

足し湯をせずに使えるため水があふれにくい

追い焚きはお湯の量を増やさず温度だけを上げるため、足し湯のように浴槽からお湯があふれる心配が少なくなります。
うっかり足し湯をしすぎて浴槽から水があふれ、浴室が濡れてしまうといった状況を防ぎやすくなります。

水道代を抑えやすい

お湯を入れ替えずに温め直すため、使い方によっては水の使用量を減らすことができます。
特に、少し冷めたお湯を戻す程度であれば、毎回お湯を張り直すよりも効率的なケースがあります。

家族構成を問わず使いやすい

追い焚き機能があれば、入浴に時間がかかりやすい家庭でも温度調整がしやすくなります。
途中でお湯が冷めてもすぐに対応できるため、小さな子どもや高齢者がいる家庭でも、安心で使いやすい設備です。

追い焚き機能のデメリット

追い焚き機能は便利な設備ですが、実際に利用する際には注意したいポイントもあります。
ここでは、賃貸で追い焚き機能を使ううえで知っておくべきデメリットをまとめます。

デメリット

・ガス代が高くなる場合がある
・掃除の手間が増える場合がある
・設備が古いと性能の差が出やすい
・入浴剤が使えない種類の給湯器がある
・追い焚き機能付き物件は候補が少なくなることがある

ガス代が高くなる場合がある

お湯を温め直すたびにガスを使用するため、追い焚きの回数が多くなるとガス代が上がりやすくなります。
特に冬場は浴槽のお湯が冷めやすく、思っているより追い焚き回数が増え、ガス代が高く感じられるケースもあります。
節約したい場合は、ふたを閉めたり、長時間放置しないなどの工夫が必要です。

掃除の手間が増える場合がある

追い焚きは浴槽のお湯を循環させる仕組みのため、浴槽内の汚れが循環部分に入りやすいことがあります。
定期的にフィルターや循環口の掃除をしないと、汚れがたまりやすくなる点は注意が必要です。
また、翌日までお湯を残して追い焚きをするという使い方は汚れがたまりやすく、こまめなメンテナンスをしないと湯垢やにおいの原因になることもあります。

設備が古いと性能の差が出やすい

築年数の古い物件では、追い焚き機能の性能が十分でない場合があります。
温まりが遅かったり、細かい温度調整ができなかったりするケースもあります。
賃貸物件を選ぶときは、設備の状況や築年数もあわせて確認しておくと安心です。

入浴剤が使えない種類の給湯器がある

追い焚き機能は浴槽の水を循環させるため、入浴剤の種類によっては給湯器に負担がかかることがあります。
そのため、追い焚き不可の入浴剤もあり、自由に入浴剤を使いたい人にはデメリットになる場合があります。
基本的には、透明タイプの入浴剤や、追い焚きOKと明記されているものを使用するのが安心です。

一般的に注意したいタイプ
・粒・固形タイプ(溶け残りが詰まりやすい)
・にごり湯・ミルク系(成分が配管に残りやすい)
・オイル入り(油分が付着しやすい)
・花びら・ハーブなど異物入り(循環口に詰まりやすい)
・バスソルト系(給湯器の金属にダメージを与える可能性)

追い焚き機能付き物件は候補が少なくなることがある

追い焚き機能は便利な設備ですが、すべての賃貸物件に搭載されているわけではありません。
特に単身者向けのワンルームでは導入率が低く、「追い焚き必須」で探すと物件の選択肢が狭まる可能性があります。
設備として重視する場合は、早めに物件をチェックしておくことが大切です。

追い焚きはガス代が高い?仕組みと節約のコツを解説

「追い焚き機能があるとガス代が高くなる」と聞いて、不安に感じる人も多いかもしれません。
ただし実際には、追い焚きそのものが必ず高いわけではなく、使い方や状況によって差が出るのがポイントです。
ここでは、ガス代がかかる理由と、無理なくできる節約のコツをわかりやすく解説します。

追い焚きは“冷めたお湯を温め直す”ためガスを使う

追い焚き機能は、浴槽のお湯が冷めたあとに、そのお湯を給湯器で温め直し、再び浴槽へ戻す仕組みです。
そのため、長時間お湯を放置して大きく冷めてしまった場合や、追い焚きを何度も繰り返す使い方をすると、その分ガスの使用量が増えやすくなります。
特に冬場や、家族の入浴時間が空きやすい家庭では、ガス代が高く感じられる傾向があります。

追い焚き=必ず高い、とは限らない

追い焚きは、必ずしも足し湯よりガス代が高くなるとは限りません。
足し湯は給湯温度の設定によっては浴槽内のお湯と近い温度になることがあり、その場合、湯量が増えるだけで十分に温まらず、結果としてさらに加熱が必要になるケースもあります。
一方、少し冷めたお湯を元の温度に戻す程度であれば、湯量を増やさずに温度調整できる追い焚きの方が効率的な場合もあります。

追い焚きのガス代を抑えるための工夫

追い焚き機能を使っていても、ちょっとした工夫でガス代は抑えられます。

  • 浴槽のふたを閉める
    熱が逃げにくくなり、追い焚き回数を減らすことにつながります。
  • 入浴時間をできるだけまとめる
    前の人が入ったあと、間隔をあけずに入浴すれば、お湯が冷めきる前に入れるため、追い焚きによる温め直しを最小限に抑えられます。
  • お湯を張りすぎない
    浴槽に張るお湯の量が多いほど温め直す際に必要なエネルギーも増えるため、必要以上にお湯を張らないことで追い焚き時のガス使用量を抑えることができます。
  • 冬場は浴室を軽く温めておく
    浴室が冷たいとお湯が冷めやすくなるため、入浴前にシャワーで壁や床を軽く温めておくことで、追い焚きの回数を減らしやすくなります。
  • こまめに掃除をする
    浴槽や循環口に汚れがたまると追い焚きの効率が落ちやすくなり、特にフィルターが詰まっているとお湯が温まりにくくなるため、週1回程度の掃除を心がけることで性能を保つことができます。

追い焚き機能の後付けはできる?知っておきたいポイント

追い焚き機能がない賃貸に住む場合、「あとから取り付けられないのか?」と気になる人も多いでしょう。
ここでは、賃貸での追い焚き機能の後付け可否と、知っておきたいポイントを整理します。

追い焚き機能の後付けは難しい

賃貸物件での追い焚き機能の後付けは、基本的に難しいと考えておく必要があります。
追い焚き機能を追加するには、浴槽と給湯器を循環用の配管でつなぐ工事が必要になり、壁や浴槽への加工が伴うケースがほとんどです。
給湯器自体を追い焚き対応のものに交換しなければならない場合もあり、建物全体の設備仕様に関わるため、オーナーや管理会社の許可が不可欠になります。
こうした理由から、賃貸では現実的に後付けできないケースが多く、「入居後に追い焚きを付ける」という選択肢は取りにくいのが一般的です。

追い焚き機能がなくても困らないケース

追い焚き機能がない賃貸でも、必ずしも不便とは限りません。
一人暮らしの場合や、入浴時間があまり空かない人、シャワー中心のライフスタイルであれば、追い焚き機能がなくても困らないケースがあります。
また、毎回お湯を張り直すことに抵抗がなければ、足し湯や張り替えで十分と感じる人もいるでしょう。
自分の生活リズムを振り返り、追い焚き機能が本当に必要な設備かどうかを見極めることが大切です。

追い焚き機能が必要な場合は物件選びで重視する

「寒い地域」「家族で入浴時間がずれる」「長風呂が多い」などに当てはまる場合は、後悔しないためにも最初から追い焚き付き物件を候補に入れるのがおすすめです。
追い焚き機能は後付けが難しい設備だからこそ、優先度の高い設備としてチェックしておくと、入居後の満足度につながります。
物件情報では「追い焚きあり」という表記だけでなく、設備の新しさや操作パネルの状態なども内見時に確認しておくと、入居後のギャップを減らしやすくなります。

まとめ

追い焚き機能は、お湯が冷めても温め直せる便利な設備ですが、すべての人に必ず必要というわけではありません。
入浴時間が空きやすい家庭や冬場の冷えが気になる人には快適さを高めてくれる一方で、一人暮らしなど生活リズムによっては、なくても困らないケースもあります。

また、賃貸物件では追い焚き機能の後付けが難しいため、「あとから付ける」のではなく、「最初から付いている物件を選ぶ」ことが重要になります。
自分の暮らしに本当に必要かを考えたうえで、物件選びの条件に入れるかどうかを判断しましょう。

なお、追い焚き機能付きの物件を選ぶ際は、フルオートかオートかといった機能の違いや循環方式、設備の新しさなどもあわせて確認しておくと安心です。
内見時に操作方法や設備の状態をチェックしておくことで、入居後の「思っていたのと違った」を防ぎやすくなります。


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NARUHODO FUMU FUMU

愛知・岐阜・三重で50年以上、地域密着の直営主義でお部屋探しを提供している不動産会社【ニッショー】が運営するWebマガジン。
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