24時間換気システムで部屋が寒いのはなぜ？止めずにできる寒さ対策

24時間換気システムは、建築基準法により設置が義務付けられている設備です。
そのため、マンションや賃貸住宅など、多くの住まいに設置されています。

冬場になると、24時間換気システムの影響で部屋が寒いと感じる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、24時間換気は止めてもいいのか、止めずにできる寒さ対策についてご紹介します。

• 24時間換気システムとは？

• 24時間換気システムで部屋が寒くなる主な原因

• 24時間換気システムを止めてはいけない理由

• 24時間換気システムを止めずにできる寒さ対策

• 24時間換気システムが寒いと感じたときによくある疑問

• まとめ

24時間換気システムとは、室内の空気を常に入れ替えるための設備です。
キッチンや浴室の換気扇のように必要なときだけ使うものではなく、24時間稼働させることを前提に設計されています。

24時間換気システムは、2003年の建築基準法改正により、原則としてすべての住宅に設置が義務付けられました。
そのため、現在のマンションや賃貸住宅などでも一般的に採用されています。

24時間換気システムの種類

24時間換気システムには、主に以下の3つの種類があります。

第一種換気

第一種換気は、給気・排気の両方を機械で行う方式です。
外の空気を取り込む際に、温度を調整する仕組みが備わっている場合もあり、冬でも冷たい空気がそのまま入ってきにくいのが特徴です。
設置費用や電気代が比較的高くなる傾向があります。

第二種換気

第二種換気は、給気のみを機械で行い、排気は自然に行う方式です。
室内に空気を送り込むことで、室内の気圧が外よりも高くなり、外気が入り込みにくい状態をつくります。
一般的な住宅で採用されることは少なく、病院やクリーンルームなど、空気環境の管理が求められる建物で使われることが多い方式です。

第三種換気

第三種換気は、排気を機械で行い、給気は自然に行う方式です。
構造がシンプルでコストを抑えやすく、マンションや賃貸住宅など、一般的な住まいに多く採用されています。

外の空気が換気口から直接入ってくる仕組みのため、冬場に「24時間換気が寒い」と感じる原因になりやすい方式です。

24時間換気システムで部屋が寒くなる主な原因

24時間換気システムが原因で部屋が寒く感じるのは、換気の仕組みや空気の性質によるものです。
ここでは、24時間換気で部屋が寒くなる主な原因を見ていきましょう。

24時間換気システムを止めてはいけない理由

寒くてつい止めたくなる24時間換気システム。
しかし、止めてしまうと思わぬ問題につながることもあります。
ここでは、24時間換気を止めてはいけない理由をご紹介します。

１．室内の空気をきれいに保つため

24時間換気システムは、室内の汚れた空気を外に排出し、新鮮な空気を取り入れるための設備です。
換気を止めてしまうと、空気の入れ替えが行われず、室内に空気がこもりやすくなります。
特に、窓を開ける機会が少ない冬場は注意が必要です。
24時間換気システムは、室内の空気をきれいな状態に保つために欠かせない設備といえます。

２．結露やカビの発生を防ぐため

24時間換気システムを止めると、室内で発生した湿気が外へ逃げにくくなります。
その結果、結露やカビが発生しやすくなり、住まいの快適性を下げるだけでなく、建物の劣化につながる原因にもなります。

３．シックハウス対策として設置されているため

24時間換気システムが設置された目的のひとつは、シックハウス症候群などの健康被害を防ぐためです。
シックハウス症候群とは、化学物質を含む建材などが原因で起こる健康被害のことを指します。
目のかゆみや喉の痛み、頭痛、めまい、吐き気など、さまざまな症状が現れる場合があります。
そのため、24時間換気システムを止めてしまうと、こうした症状が起こるリスクが高まるため、注意が必要です。

24時間換気システムを止めずにできる寒さ対策

24時間換気システムは、寒いからといって止めてしまうのではなく、工夫次第で寒さを和らげることができます。
ここでは、24時間換気システムを止めずにできる、寒さ対策についてご紹介します。

１．換気口用のフィルターやカバーを活用する

換気口専用のフィルターやカバーを取り付けることで、冷たい空気の流入を和らげることができます。
工事不要で取り外しできるタイプであれば、賃貸物件でも取り入れやすい寒さ対策といえるでしょう。
設置する際は、両面テープや固定具などの種類を確認し、壁や設備に傷がつかないよう配慮することが大切です。

ただし、空気の流れを完全にふさいでしまうと換気性能が低下する可能性があります。
製品ごとの注意事項を確認し、換気を妨げない範囲で使用しましょう。

２．暖房器具を上手に使って室温を保つ

冬場は、24時間換気システムによって外の冷たい空気が入ってくるため、暖房が効きにくいと感じることがあります。
エアコンを使用している場合は、設定温度を少し高めに調整する、風向きを下向きに設定するなどの工夫で、室内が暖まりやすくなります。
足元の冷えが気になる場合は、暖房の風向きや設置位置を見直してみるのもおすすめです。
24時間換気と暖房は併用しながら、無理のない範囲で室温を調整しましょう。

３．サーキュレーターで室内の空気を循環させる

暖房によって暖められた空気は、天井付近にたまりやすい特徴があります。
そのため、部屋全体は暖かく感じていても、足元だけ冷えることがあります。

サーキュレーターを使って室内の空気を循環させることで、上にたまった暖かい空気を床付近へ送り、冷えを感じにくくする効果が期待できます。
エアコンと併用する場合は、天井や壁に向けて風を送るように設置すると、空気が自然に循環しやすくなります。

４．換気の給気量を調整する

24時間換気システムの中には、換気の強さを調整できるタイプもあります。
冬場に寒さを感じた場合は、完全に止めるのではなく、弱運転に切り替えるのもひとつの方法です。
ただし、換気量を下げすぎると空気の入れ替えが十分に行われなくなるため、部屋が暖かくなってきたら元の設定に戻すように調整しましょう。

５．換気口は定期的に掃除する

換気口やフィルターに埃や汚れがたまっていると、空気の流れがスムーズに行われず、換気がうまく機能しなくなることがあります。
その結果、冷たい外気が一気に入り込み、寒さを強く感じてしまう場合もあります。
定期的に掃除を行うことで、換気が適切に行われ、寒さを感じにくくなる効果が期待できます。
賃貸物件の場合は、無理に分解せず、取扱説明書の範囲内で行いましょう。

24時間換気システムが寒いと感じたときによくある疑問

24時間換気システムが寒いと感じたときに、よくある疑問をご紹介します。

まとめ

24時間換気システムは、室内の空気をきれいに保ち、結露やカビ、シックハウス症候群などを防ぐために設置されている大切な設備です。
寒いからといって換気を止めてしまうと、住まいの快適性や健康面に悪影響を及ぼす可能性があるため、24時間換気を止めることはおすすめできません。

換気口用のフィルターやカバーを活用する、暖房やサーキュレーターで空気を循環させる、換気量を調整するなど、止めずにできる寒さ対策を取り入れることで、寒さを和らげることは可能です。
住まいの環境に合った工夫をしながら、24時間換気と上手につき合っていきましょう。