ニッショー×ヴィレッジヴァンガード コラボルームプロジェクト第12弾 青雲ビル 201号室

BORDERLESS PLACE Produced by アズノタダフミ

アズノタダフミ スペシャルインタビュー

キズもシミも“味”のうち。家とともに成長しながら、住むことを楽しんでほしい。

──今回のような賃貸物件をプロデュースするのは?

アズノさん(以下 敬称略):これまでゲストハウスやカフェバー、そば屋などをプロデュースしてきましたが、賃貸住宅は初めてのことです。
しかもこれまでは現場に入り、現場の人たちといっしょにつくってきたのですが、今回はスケッチと図面だけを工務店さんにお渡ししてつくっていただいたんです。
このやり方も初めてでした。当時、僕は山口県の萩市でゲストハウスの仕事をしてたんです。
日中はその工事をして、夜はマクドナルドでこの物件のデザインを描いてましたね(笑)。
不安よりもおもしろさのほうが勝ってたかなぁ。どんな風に仕上がるのか、楽しみでした。


──この部屋の特徴は?

アズノ:そうですね。まずコンセプトとして「住むこと、使うことが楽しい家」にしたいと思いました。
浮造り(うづくり)(※)された杉の床は無垢材を使っているので、素足で歩くと気持ちいいし、玄関部分は物置スペースが広く取ることで、居住空間に物を置かなくて済みます。
寝室は間仕切りにすることで、開放感を演出できていると思います。
物を落として床にキズがついても、コーヒーをこぼしてシミになっても、それを“味”としてとらえられる家。人が成長するように、家も人ともに経験を重ね、味わい深くなっていく……。
そんな空間をつくりたかったんです。
多くはないと思いますが、きっとそういう気持ちが伝わる人がいると思って。

※浮造り(うづくり)…… 木目を引き立てて見せるために柔らかな部分を磨いてへこませ、凹凸が浮き立つように仕上げる方法。豊かな木質感が味わえる。

僕が住みたいくらい気に入ってます(笑)。

──難しかったところはありますか?

アズノ:レイアウト的に水回りに制約があったのですが、悩んだだけあってうまくいったと思います。床もステップフロアみたいになっているんですが、これも初めから狙ったわけではなく(苦笑)。
でも、結果的にいい感じになってると思います。
あと、間仕切りの下の幅木。細かいところですけど、ここを見てほしいですね。普通、ただのまっすぐな板が貼ってあるだけでしょ?
でもこの波々がね、ひと手間かかってるって感じで。
スケッチと図面だけでここまでイメージ通りにできれば言うことないですよ。
僕が住みたいくらい気に入ってます(笑)。

──どんな人に住んでもらいたいですか?

アズノ:さっきも言いましたけど、キズや汚れも楽しめる人かな。
あと、友人たちを呼んでパーティーしたりするのが好きな人。
こんな部屋でみんなと食事しながら談笑したら、きっと楽しいと思いますよ。

──最後にこれから住む人へメッセージを。

アズノ:もし家具を置くとしたら、本物の素材を使った、ちゃんとした家具を置いてほしいなぁと思います。
寝室は完璧には隠せないから、おしゃれなファブリックを1枚用意して来客のときにさりげなく掛けるとかね。
自分で棚とかつくってもおもしろいですよね。そのときもちゃんとした本物の木を使ってつくるといいと思います。
自分なりに工夫しつつ、楽しみながら住んでほしいですね。