YOICHIRO氏 インタビュー

インタビュー

住む人の心に寄り添う絵を

誰もやっていないことに挑戦するのが好き。

去年の秋くらいでしょうか。ヴィレッジヴァンガードさんから賃貸物件の室内に壁画を描くという企画を打診されました。最初に聞いたときはちょっとビックリしましたね。これまでショップなどの商業施設に描いたことはあったけど、住宅は初めてのこと。でも、その斬新な企画はヴィレッジヴァンガードさんらしいなぁと思ったし、何より僕はやったことのないことにチャレンジするのが大好き。だから企画の内容を聞いていくうちにすごく興味が湧いてきて、やってみたいと思うようになりましたね。ノリといきおいで「描いていいなら描いちゃうよ!」ってな感じでポンポンと話が進みました。

物件は1度だけ下見をして、写真を撮りながら壁の大きさや形などを確認し、構想を固めました。やはり人の住む空間に描くのは新鮮で緊張感がありますね。楽しんで描かせてもらいましたよ。

住む人との調和を第一に考える。

壁画は以前、RESTIRの銀座「裏RESTIR」の店内に描かせていただいたタッチを選びました。ここはあくまでも人が生活する空間なので「住む人と絵の調和」を大切にしました。だからあまり押し出しの強いものより、シンプル&シックで空間になじむものがいいと考えたんです。

壁画は三角形を意識した三角構図になっています。天から地に向かってボリュームを増していく三角形は、動かざること山の如し。安定感や安心感を生み出すような構図を意識しています。差し色も目線を三角形に誘導するようなポイントで入れ、少し伏せ目がちの視線もマリアさまや観音さまのようなイメージ。住む人が不安なとき、辛いときに絵を見ることで落ち着きを与えられたらいいな、と思っています。

絵が客観的にどう見えるか、感覚的な部分にこだわる一方、絵の重心を考え、足したり引いたり計算しながら作り上げました。壁画単体で主張するのではなく、インテリアの一部になるような印象に仕上がっていると思います。住む人に飽きることなく長く見てもらえたらうれしいですね。

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