コンセプト

ただならぬ雰囲気のマンション。

 地下鉄東山線「中村公園」駅から徒歩14分のところに、その物件はある。住宅街に佇む鉄筋コンクリートの3階建マンションなのだが、一見して賃貸物件には見えない。道路の面を見ると、2階部分のほとんどがミラーガラスになっている。「ん? どうなっているんだ?」。部屋に入る前からただならぬ雰囲気を醸し出しているが、その予感はドアを開けた瞬間に的中する。1LDK47.33m²はごく一般的なスペックだが、普通の部屋を想像していたらかなりの衝撃を受けるに違いない。

コンセプトは「個性的な女性の脆さと怠惰」。

 ドアを開けた瞬間、多くの方は思わず「おおっ!」と声を上げるだろう。最初に目に飛び込んできたのは、まさかの「紫色」。壁には巨大な鏡、そして頭上にはシャンデリア。「え!? ここって住居なの!? ブティックとかじゃなくて!?」。戸惑いながら短い階段を上ると、さらなる衝撃が!! 北側の一面がガラスになっていてワイドなパノラマビュー。部屋の中央には太い柱があり、奥にはキッチン。南側に1つ部屋がある。おそらくほとんどの方はこんな間取りの部屋は見たことがないだろう。

 変わった間取りの物件だが、この部屋が元々は事務所として使われていたと聞けば「なるほど」と納得できる。事務所から住居へのコンバージョン物件。写真を見てもらえば分かるが、コンバージョン前は何の変哲もない事務所。しかしニッショーとヴィレッジヴァンガードの手に掛かれば、地味な事務所が一気に妖艶な雰囲気を持った部屋に生まれ変わる。「個性的な女性の脆さと怠惰」なんていう意味深なコンセプトもこの部屋だからこそ、だ。

ウッディな雰囲気と豪奢なセンスの融合。

 ついついその妖艶な雰囲気に目を奪われてしまうが、この部屋、細かく見ていくとこだわりが随所に見られる。まずは壁紙だ。触ってみると分かるが質感豊かなエンボス加工の壁紙が使われており、高級感がある。エアコンもわざわざ黒い外装のものを選んで取り付けたりと、ヴィンテージでエキゾチックな世界観を崩さない工夫が詰め込まれているのだ。

 部屋のアイテムは、個性的な形のフラワーベースやクラシックギターなんかを置いてもいい。当然、クラシックな家具や革張りの重厚なソファーも似合うはずだ。迷いどころはこのパノラマビューをどうするか?
 外からはミラーガラスになっているので部屋の中は見えないが、夜間に照明を使うとさすがに見えてしまうだろう。ベルベット素材やペイズリー柄のカーテンなどが王道だが、奇抜な原色を使ったデザインも案外合うかもしれない。

 さぁ、あなたならこの部屋でどう暮らすだろうか? セカンドハウスとして使うのも良さそうだし、仕事部屋としても使えそうだ。個性的だけど、やり過ぎない。とんがってるけど、居心地の良さもある。そんな「二律背反」の部屋は、やはり唯一無二だ。